ウェブ仮想社会「セカンドライフ」

著者の湯枝大志氏の Second Life への熱い思いが伝わってくる良書。安易なハウツー本ではなく「セカンドライフの哲学」を説明しようとしている。著者は Second Lifemixi の次に来る新しいコミュニケーションツールになるのではないかと考えている。

直接 Second Life は関係ないのだが、この本を読んで初めて、なぜ若い人(とくに mixi 系の人々)が twitter に熱狂するのか理解できた。著者は 1983年生まれだが、この世代は「卒業名簿をもらえない世代」なのだという。個人情報保護のため、たとえ同級生であっても住所がわからない。コミュニケーションのギャップを埋めたのは携帯電話。だが、携帯電話はなくしたり壊したりするリスクがある。そのため連絡簿としての mixi がヒットした。mixi では足あとを通じて「つながっている感」を維持できる。だがリアルタイムのコミュニケーションには向かない。だから、これから時代は Second Life だ。Second Life ではチャットができるから・・・というのだが、ここはむしろ twitter と言い換えたほうがしっくり来る。

思うに、Second Life の一番の売りは「場を作り出す作用」ではないか。誰かとあたかも同じ場所にいることができるように感じられることがもっとも重要なのではないか。Second Life 自体は、現在のテクノロジーの制約を受けて、その「仮想的居合わせ感」はまだいまひとつかもしれない。だが、テクノロジーが進歩していくべき方向は明らかになったとはいえるのではないか。