ウェブは資本主義を超える
- 作者: 池田信夫
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2007/06/21
- メディア: 単行本
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現在「ネットイナゴ論争」で話題の渦中の人、池田信夫氏。私の立場を最初に断っておくと、基本的に昔から(ブログが流行りだす前から)の池田氏の文章のファンである。エスタブリッシュな地位にいながらも異端として権威に吠えまくる勇姿に何度溜飲をおろしたことか。まあ、「ネットイナゴ」の件に関しては、私は池田氏にはあまり共感できないが。私は、はてなブックマークのコメント欄がかなり好きだ。一般的に、はてなのユーザーはかなり意識レベルの高い人が多い。今回の論争の火種になった IPアドレス枯渇 の話は、私は技術的にはよくわからないが、404 Not Found の弾さんの発言といい、おそらくネットワークの現場の人たちが怒ってしまい、かなり感情的なコメントをはてブに残すことになったのだろう。池田氏には、そこらへんの心情も汲み取ってあげてほしい。
閑話休題。「ウェブは資本主義を超える」についてだが、ざっと読んで暗い気分になった。この本の内容を一言で要約すれば、「悪い因子の排除(失敗の最小化)から、良い因子の非排除(失敗の自由)へ」。だが、日本は、それがうまくできずにバブル崩壊後15年も経ってしまった。
まあ、部分的に進歩もあったとは思う。会社法が変わって、株式会社が作りやすくなったとか(そうじゃなかったら僕が株式会社なんて作れなかった)だが、p206「改革派の敗北」にあるように、経済産業省の改革派(フレームワーク派=イノベーションの生まれやすい環境を整備することを目指す立場)が2003年ころまでに後退し、ふたたび大時代的な産業政策を目指す保守派が台頭しているらしい。なんだかなー。ホリエモンや村上ファンドの村上氏が失脚するのも、こういう流れの中にあるのかしら。何かとはっきりしていた小泉首相に比べて、いまの安倍首相はなんとも歯切れの悪い人だし。
日本の産業構造は、どうにも八方塞がりだ。これから、ゆるやかな衰退の道をたどるのか?いったいどこに突破口があるのだろう?やはり黒船に頼るしかないのか。