アメリカ永住権を取得する方法

移民ビザ(永住権)とは

アメリカに永住を目的に取得するビザが移民ビザ(immgrant visa)である。永住権(permanent residency)と呼ばれているものがこれに当たる。時々混乱している人を見かけるが、永住権と市民権(citizenship)は異なる。永住権はあくまでも外国人がその国に滞在する資格を証明する書類に過ぎない。それに対して、市民権は国籍のことである。日本は、二重国籍を認めていないので、日本人は他国の永住権は取れるが、市民権を取得することはできない。(そうすると自動的に日本国籍を喪失することになっている)

アメリカの永住権を取得すると、就労する権利や社会保障など、アメリカ市民とほぼ同等の権利が得られる。(詳しくはググってほしい) とりあえず、アメリカで働く目的という視点からは、「永住権とは、無期限で制約なしのオールマイティビザ」だとおもっておけばいい。(実際には維持には一定の手間がかかる。これもグーグル様に聞いてみて)

アメリカ永住権のことを俗にグリーンカード(Green Card, GC) とも呼ぶ。

情報ソース

移民ビザ
在日アメリカ大使館ウェブサイトによる移民ビザに関する解説。

永住権(グリーンカード)を取得する方法
ALBS Japan, Inc による解説。

アメリカ永住権を取得する方法

非移民ビザを取るのさえ、あれだけ難しいのだから、移民ビザとなればなおハードルが高いのは当然である。私にとっては、今すぐ使えるような手段ではないのだが、後学のためにまとめてみた。こうしておけばチャンスが来たときにそのタイミングを捉えることができるだろう。

ALBS Japan, Inc サイトから引用。

永住権を取得する方法には
現行の移民法による永住権を取得する方法は大別すると以下の5つがあります。


1. 直近親族である家族スポンサーによる
2. 自己の才能および能力による
3. 米国の雇用先(スポンサー)のサポートによる
4. 移民分散化プログラム(抽選永住権プログラム)による
5. 米国に投資を行うことによる


現在のところ上記5つの方法のみが永住権の取得を可能とする方法です。

1. 直近親族である家族スポンサーによる

アメリカにいるアメリカ市民を家族として持つ場合に、発給されるもの。いちばんありがちなのは、アメリカ人と結婚して永住権を取得することだろう。裏技的だが、アメリカは国籍に関して出生地主義を取っているので、アメリカで子供を出産すれば、その子はアメリカ国籍を取得する。将来、その子をスポンサーにして、親である自分が永住権を取得する、という手もなきにしもあらずだろう。(上のサイトによれば、「米国籍者である子供が既に21才に達していれば両親の申請が可能。順番を待つことなく取得可能です。しかし金銭的保証立証が必要となります」だそうだ)

2. 自己の才能および能力による

これは、眺めてみるとなかなか面白い。ALBS Japan, Inc サイトによれば以下の通り。

EB-1ビザ:
このビザの資格を有する個人カテゴリーには以下の3種類があります。


1. 国内あるいは世界的に有名であると証明できる「並外れた才能」を持つ人。 (科学、芸術、教育、事業、スポーツにおいて) EB-1-1
2. 「傑出した教授、研究家」および「世界に認められている人」 EB-1-2
3. 複数の国において役員もしくは経営者で、外国企業に過去3年の内1年以上雇用され、 同様の業務を米国企業に提供するために米国に移転できる人。EB-1-3


上記2はスポンサーが必要となります。
上記3の場合、Lビザから変更するケースが多いですがEビザでも条件を満たせば取得可能です。
また、このビザを持つ者の家族にもグリーンカードが発行されます。


EB-2ビザ:
このビザは高等学位(修士、博士、等)を持つ専門家を対象としたもので、科学、芸術、事業のいずれかにおいて特殊な能力を持ち、米国移住することで米国経済、文化および米国の厚生に貢献すると認められればビザが発給されます。 また、このビザを持つ者の家族にもグリーンカードが発行されます。


EB-3ビザ:
このビザは特殊技術を持つ専門家を対象としたもので、 この「専門的職業」とは会計、旅行、ホテル経営、設計士、エンジニアリング、看護、その他特殊研究分野において学士号を持つ人。「技術を持つ労働者」とはこの特殊職業の少なくとも2年以上の訓練あるいは経験を持つ人。
米国雇用者は「上記の能力を持つ米国労働者がいない」ということを証明しなければなりません。また、このビザを持つ者の家族にもグリーンカードが発行されます。

EB-1, EB-2, EB-3 の順に条件はゆるくなるが、待ち時間は反比例して長くなる。
EB-1-1 などは、たとえば「ノーベル賞受賞者」「オリンピック金メダル保持者」くらいじゃないと駄目そうだ。EB-1-2 はもうちょっと緩くて、国際的な賞を取ったことのある大学教授くらいなら行けるのかも。Ruby の Matz なんかはどうだろうか?(彼こそ、いかにもアメリカなんか移住しそうもないが) EB-1-3 は、「専務・島耕作」みたいに、日本の大企業の重役でアメリカ子会社の社長とかやっていれば取れるのだろう。やれやれ、つくづく私には縁がない。

EB-2 は、高学歴者優遇措置か。日本みたいな反知性主義的な土地柄だと、「修士・博士?何それおいしいの?」という感じだが、英語圏は、言葉本来の意味で大変な学歴社会である。修士・博士が学士より優遇されるのは当然のこと。特に博士号を持っている人に対しては、必ず Dr.(ドクター)付けで呼ばないと、怒り出すことも多いらしい。若い皆さん、そういう意味でも博士号くらい取っておいたほうがいいかもしれませんよ。

EB-3 はもうちょっと敷居が低い。これなら私でもなんとか手が届きそう。IT エンジニアの場合、非移民ビザ・特殊技能職(H-1B)というカテゴリのビザで滞在しながら、これを申請することになるのだろう。ただ、いまはそもそも H-1B 発給数が 65,000 に制限されて、非常にとりずらくなっているうえに、このカテゴリで永住権を申請すると非常に長い時間待たされるらしい。(5年とか)

3. 米国の雇用先(スポンサー)のサポートによる

これは上の 2. に含まれるので省略。

4. 移民分散化プログラム(抽選永住権プログラム)による

キター!いかにもアメリカらしい大胆な永住権発給方法。いわゆる「永住権くじ」である。趣旨としては、永住者の出身国の偏りをなくすために、なるべくいろんな国から人を入れようということらしい。2007年の募集(DV-2009)は10月3日〜2007年12月2日であった。ということは、もしこの制度が続くならば 2008年の募集も10月から12月にかけてあるのだろう。オンラインから無料で申し込むことができるので、興味があればどうぞ。私自身はやったことはないのだが、今年は挑戦してみるつもりだ。どれくらいの確率で当たるかと言うと、ALBS Japan, Inc によれば「このDVプログラムに応募する日本人の数は推定50,000人以上と言われております。 DV-2007では333名の日本人が当選しました」とのこと。1%弱の確率ということになる。ただし、夫婦がそれぞれ別々に応募することができ、一方が当たれば他方にも永住権が与えられるそうだ。そう考えると、夫婦が20年間連続して、この永住権くじに応募しつづければ、1 x 2 x 20 = 40% の確率で永住権が取得できることになる。気長にやってみるのも手かもしれない。(もちろん、将来、大量に日本人が応募するようなことになれば、確率は下がっていくだろうが・・・)

5. 米国に投資を行うことによる

これまた英語圏らしい、身もふたもない永住権の発給方法だ。全世界のお金持ちさま、永住権をお売りします、という感じ。
ALBS Japan, Inc のウェブサイトによれば以下の通り。

EB-5カテゴリーは下記のいずれかの条件を満たすことにより永住権を取得することを可能とする移民法です。


1. 100万ドルを投資して2年以内に10名の米国人を雇用する。
2. 失業率が米国平均失業率の150%を超える地域に50万ドルを投資して、2年以内に10名の米国人を雇用する。
3. 米移民局が指定した地域センター(Regional Center)内の新しい事業あるいは経営困難に陥っている事業に50万ドルの投資を行い間接的に雇用を創出する。その投資は「新しい会社」あるいは「経営困難となっている会社」に行なわなければならない。
(その事業から収益を得ても良い。)

かいつまんで言えば、「永住権がほしいなら、100万ドル投資して10人以上アメリカ人を雇え。経済不振の地域に投資するなら、50万ドルに負けてやる」ということだ。でもね。アメリカ人が投資したがらないような地域に投資して、儲かるの?という疑問を誰しも持つだろう。たぶん、儲からないのだ。投資全額ではないだろうが、いくらか損を出すことになるのだろう。それが、永住権の価格になるわけだ。

ただし残念なことに EB-5 は時限立法措置で、2008年で期限が切れるそうだ。2009年以降継続するかはまだ未定であるらしい。

まとめ

普通の人が確実にアメリカ永住権を取得する方法は、アメリカ人と結婚する方法だけと言っていい。しかし、この場合でさえ、外国人配偶者はすぐにグリーンカードがもらえるわけではなく、長く待たされるらしい。一言でいうと、アメリカ永住権を取るのは「非常に面倒!!!」。私は、カナダの永住権を取るときに、ビザに振り回される時間を1年半くらいすごした。あのときの不安と孤独は忘れられない。この点いろんな考えがあるだろうが、ビザのために好きなこともせずに人生を犠牲にするのは間違っているような気がする。もちろん、それは私が日本という豊かな国に生まれ育った人間だからかもしれない。世界には本当に希望の持てない国もある。そういう国に生まれれば、5年や10年という時間を犠牲にしてでも、アメリカに移住したいのかもしれない。
まあ、少なくとも日本人は、アメリカ永住権を取ろうと試みるとき、そうしたハングリー精神の塊のような連中と競争しなければならないということだけは確かなようだ。