ネオリベ論客2人+α

野口悠紀雄氏(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)

 テレビはもともと無料のメディアだから、インターネットへの移行は、利便性と可能性の増大以外の何物でもない。視聴者にとってのみならず、配信者にとっても歓迎すべき変化だろう(それにもかかわらず日本のテレビがインターネットに移行しないのは、放送法上の制約があるためかもしれないが、不思議な現象である)。

そうねえ。日本は新聞もひどいが、テレビもひどいですね。既存のテレビ局はインターネットでほとんど映像を流さない。世界的潮流で言うとこれはちょっと異常。私の知る限り、韓国と中国は地上波とまったく同じ内容をネットでバンバン流しているんですけど。

竹中平蔵氏(慶應義塾大学教授 グローバルセキュリティ研究所所長)

 これに対して日本は、技術も資本も豊富ではるかに恵まれていますが、それゆえに危機感が乏しい。たとえば、ちょっと景気が悪くなると、「大型補正予算を組んでくれ」と、政府にすがる経済界の関係者が続出します。メディアの一部も、「大変だ」とそれを煽りますよね。しかし、それでは根本的な解決にはならない。それよりも、税金を安くして、政府の支出に頼らない構造を作るべきなんです。

シンガポール・香港に学べという趣旨はもっともなんですがね。
竹中さん、しかし、ちょっと主張がストレートすぎやしませんかね?

はてな村2ch を見てるといわゆる「ネオリベ」(蔑称)を攻撃する人たちがめっきり増えてきているのを感じます。国民のある層(おそらくは相対的貧困層)は、こうした経済的自由主義に対する敵意を持っています。そこで、旧来の主張を繰り返しても、たぶん政治的には受け入れられないでしょうね。結局、麻生さんのような古典的なバラマキ政策が実行されることになるのでしょうか?
やれやれ。

いずれにしろ、バラマキ政策は外国人投資家が最も嫌うところであるので、日本への投資は停滞し、株式市場も活性化しないでしょうね。資本移動が自由化された今日、国際資本は、主権国家が暴走するのを防ぐ規律(decipline)として作用しているわけですね。

失われた n 年がふたたび到来しそうです。

和田秀樹氏(精神科医

現在の日本人の間には、あらゆる点で「意欲の減退」症状が起きはじめている。

和田氏いわく、意欲格差こそが経済格差の根本的な原因とのこと。

私の友人が、面白い話をしてくれました。彼はまだ20代半ばで、北海道から東京に出てきた数年前、最初は日雇い派遣で飯を食っていました。いまはかつてからの希望であった貿易事務の仕事を得て、人並みの給料をもらっています。彼いわく、日雇い派遣から這い上がれるかどうかの一番の決め手は本人の意欲だそうです。本当に意欲なくだらだらと働いている人がいるとのこと。こういう連中はどんなに周りが救いの手を差し伸べても無駄だそうです。

飲食チェーン店では、外国人労働者の姿がすっかり目立つようになりましたが、彼らが雇われるのは単に低賃金で働いてくれる、というだけではないと推測しています。おそらくは、一部のやる気のない日本人よりずっとよく働くのでしょう。これは推測なので、本当かどうかわかりませんが、もしその外国人が日本でお金を貯めて、海外の家族に送金する、なんていうことをしているのなら、俄然やる気が出てくるはずです。

私は、いま正直すっかり日本が嫌になってしまって、早く逃げ出したいと思っていますが、その原因は人々に意欲が感じられないということに尽きます。活気がないんですよ。ベトナムが理想の国だなんてこれっぽちも思っていませんが、少なくとも人々の意欲は日本より上なんじゃないかと思っています。

(誤解のないように言っておくと、私は日本文化を愛してはいますよ。日本がまともな国になるまで、ちょっと日本を留守にするだけです。復活の兆しが見えたら帰ってきます)