なぜ外国へ行くのか

今回ベトナムに行って新しいビジネスの可能性について調査する、と言うと「へえ、すごいですね」「勇気がありますね」と感心してくれる人もいる。ただ、実際には偉くもなんともない。本当はすべてのことを日本で実行可能ではあるのだ。外国人は、東京にもたくさんいる。彼らとビジネスをすれば、十分国際的な仕事をこなすことはできる。ベトナムで会社を作らなくても、日本にいま持っている自分の会社で、新しく人を雇えばいい。

なぜそうしないのか。
それは自分が怠惰で臆病で弱いからだ。

私は、怠け者で、常に外国とかかわりを持って生きたいと思っているのに、日本にいれば、日本人同士の気安さ、日本語を使うことの気楽さに溺れて、ついつい日本の内部で閉じた生活をしてしまう。東京で、外国人と付き合うのが面倒になってしまう。

私は、東京で人を雇うだけの十分な運転資金を持っていないが、それは大きな問題ではないのかもしれない。どんなビジネスをしたいのかきちんと計画をたて、起業仲間を見つけ、資金を集めれば、人を雇うくらいの規模の会社を作ることはできるだろう。ただ、いまの自分にはそこまで明確なビジネスモデルが念頭にないし、それを一緒にやろうという仲間も見出していない。

だから、東京ではつい惰性に流されてしまいがちだ。十年一日の如く、同じような仕事を淡々とこなし、同じような日々を送ってしまう。それではあっという間に歳を取っておじいさんになってしまう。私は、とにかくこの惰性を打ち破り、新しい生活を打ち立てなければならないと、と思った。

理想は、東京で安定した生活を持ちながら、常に新しいことに挑戦する気概を持つことだ。実際にそうしている人たちはたくさんいると思う。ただ、私は自分の弱さゆえに、それができなかった。新しい環境が必要だった。

実際に、何らかの新しいビジネスを始めるまえに、私は、自分自身の気持ちを整理しなければならない。自分は、本当のところ、何をもっとも深く求めているのか。どういう生活であれば、自分が一番満足なのか。ビジネスに関する調査と同時進行で、この課題を進めて行きたい。