プッカンと北朝鮮

韓国人は北朝鮮のことをプッカンと呼ぶ。漢字で書けば「北韓」である。

いまカナダ時代に出会った韓国人の親友の家にいる。グーグルマップを見ると、驚いたことにここイルサンシントシ(一山新都市)は、プッカン(北朝鮮)との国境まで20キロもない。しかし、ここはごく普通の韓国の中流階級の人々が生活を楽しむ落ち着いた住宅地である。北朝鮮の気配は微塵もない。

日本の人たちは北朝鮮のミサイルにおびえている。しかし、ここではミサイルはおろか、国境から普通の大砲を撃っても弾が直接届くような、そんな近距離なのである。しかし、友人たちの話を聞く限り、北朝鮮に対して強い緊張感を持っているようには思えない。北朝鮮との経済的競争に完全に勝利した韓国人たちの自信が透けて見える。

私はこんな韓国人たちに囲まれて生活していたせいか、日本人の北朝鮮への危機意識がよくあまりピンとはこないのだ。韓国は北朝鮮と50年以上、厳しく対峙してきたが、日本にとって北朝鮮が「敵」だとはっきり認識するようになったには比較的最近だからかもしれない。

韓国人にとっての「プッカン」と日本人にとっての「北朝鮮」。角度を変えると同じ国も違って見えるのかもしれない。