夜行バス

ハノイで、主に外国人をターゲットにした夜行寝台バスに乗り込んだ。幅40cmくらいの2段の寝台が、横に3列並んでいて、2段 x 3列 x 7行 = 42人ほどが寝たまま目的地に向かうことができるような構造である。日本にはないようだが、中国では普及していて、このバスの構造は中国の寝台バスとほぼ同じである。私の乗ったことのある中国の寝台バスとの唯一の違いは、トイレがついているということだけである。マットレスや掛け布団が用意されているが、期待したほどきれいでもない。客はほとんど欧米人だが、なかにはベトナム人も混ざっているようである。テレビが備え付けられていて、いまのところ大音量で何かの映画が掛かっている。しかしベトナム語なのでまったく理解できない。

ハノイから1500キロ南のホーチミン市まで、料金は700,000ドン(4,375円)。国鉄寝台列車よりやや安い程度であり、飛行機の約半額である。日本人の感覚だと 1500 キロを 4000円 ちょっとでいけるのは悪くないのだが、ベトナム人にとってはいかにも高いバスであるようだ。ベトナム人が使うような座席の乗り心地の悪いバスならば、この半額以下で乗れるらしい。

隣に大柄の若い陽気なカナダ人の男が乗り込んできた。「中国にはあまりいないのに、なんでベトナムにはこんなに欧米人の旅行客が多いの?」と聞いてみた。彼の意見では、欧米人は、東南アジアをエキゾチックなリゾート地だと考えて大挙してやってくるが、中国はそもそもリゾート地という認識がないからだろう」とのことだった。「それに、中国は東南アジアほど英語が通じないし、文字(漢字)も難しいものね」と私がいうと、彼も同意した。

身体の芯が興奮してなかなか眠れない。たぶんベトナム・コーヒーを飲みすぎたせいだろう。