激動のアジア情勢

タイ・バンコクスワンナプーム国際空港が反政府勢力によって占拠・封鎖されている模様である。(BBC Newsの記事)ここベトナムホーチミン市でも、影響が出始めている。落ち着かない表情のドイツ人カップルに出会った。今日バンコク経由でドイツに戻る予定であったらしい。航空会社に連絡を取ろうにも、常に話中でつながらないという。実は、私も12月中旬に陸路でバンコクに向かい、そこから飛行機で東京に戻るつもりだった。この様子では、その予定をキャンセルせざるを得ないだろう。

タイは、インドシナ半島でもっとも将来を嘱望された国のひとつであった。だが、今回の空港封鎖騒ぎで失った国際的信用は大きい。12月は、東南アジアのリゾート地にとって、かきいれどきなのだ。なぜかというと、東南アジアの冬は温暖で過ごしやすいし、クリスマス休暇もあるので、例年、欧米から旅行客がおしかけるのである。今年のタイは、このピークシーズンを失った。旅行業界への打撃は計り知れない。まして、いまは国際金融危機の真っ只中である。投資家たちは、政情不安のタイを投資先リストから消すだろう。私自身は、タイは好きな国なのでなんとも残念である。

タイ情勢を注視していたら、今度はインド・ムンバイから銃撃テロのニュースが飛び込んできた。ムンバイはインド最大の経済都市である。私は、以前、ムンバイに本社を置くインド系の IT 企業に勤めていた。一回、出張でムンバイを訪れたことがある。ムンバイ中心部には、イギリス風の建物が残っていて、美しい街だったことを覚えている。観光名所のインド門の隣にそびえるタージマハル・ホテルは、ムンバイを訪れる VIP たちをもてなしてきた素晴らしい高級ホテルである。豪華なロビーの美しさが記憶に残っている。ここも今回のテロの標的のひとつになったことに衝撃を覚えた。

アメリカ発の金融危機は、急速に世界の実体経済を冷やしつつある。中国では労働争議が多発している。(BBC News)(朝日新聞) だいぶ世界がきな臭くなってきた。新しい世界秩序への生みの苦しみということだろうか。

幸い、ベトナムの政治は非常に安定しているようだ。サイゴンは今日もいつもと変わらぬ日常である。世界的に景気が厳しい昨今ではあるが、この政治的安定性ゆえに、ひょっとしたら他の国への投資がベトナムに回ってくる、ということがあるかもしれない。