ベトナムとチープ革命

朝食を食べるたびに「ベトナムの食は豊かだな〜」と痛感する。今朝は、ビーフシチューの中にビーフンを入れたような食べ物を食べたが、牛肉がたくさん入っている。それで13,000ドン(72円)。これくらいの値段だと、普通のベトナム人にとっても気楽に食べられる。東京で食べたらいくらするだろう?少なくとも800円は下らないだろう。朝食に800円かけられる人は、どれくらいいるだろうか?

なぜ冷めた?若者の「クルマ熱」 - 速報:@niftyニュース
パソコンってやばそうだよね。 - Chikirinの日記

これらは「なぜ車が売れなくなったか」「なぜ(高級)パソコンが売れなくなったか」分析している記事だが、背景には、デジタル機器の飛躍的な性能向上と価格低下 - いわゆる「チープ革命」 - がありそうだ。

携帯電話やネットブックのような安価なデジタル・デバイスは実に多能(versatile)で、日常生活のほとんどの用途を一台でこなしてしまう。ウェブ閲覧、メール、音楽・映画・テレビ鑑賞等々。

振り返ると、私がまだ10代の少年のころだった20年前は、音楽を楽しむには、ステレオコンポや携帯カセットプレーヤーが必要だったし、映画を見るには、テレビ受像機やビデオデッキが必要だった。こういう機器への支出を合計すると、軽く20-30万円くらいになってしまったものだ。

ところがいまは、一台のパソコンがあれば足りる。それも10万円以下の一番安いやつで十分。さらに簡単な用事なら携帯電話でも十分。

ベトナムの若者たちは、月給が1万円や2万円という人たちがざらである。それでも、携帯電話や中古のデスクトップパソコンを買える。チープ革命のおかげで、これらの機器が非常に安くなっているからだ。

そして、楽しむためのコンテンツはそれこそインターネットに山ほどある。ここでは音楽も映画もすべてダウンロードし放題だ。先進国の権利者たちも、まだ購買力の欠しいベトナムではあまりうるさいことを言わないのかもしれない。そういうわけで、ベトナムの若者たちは、アメリカの映画やイギリスの音楽を心行くまで楽しんでいる。(実は日本の音楽も結構簡単にダウンロードできたりする)

時間的な余裕は、東京の人たちよりあるので、食べ物が安くてうまいベトナムの若者は、チープ革命のおかげで、東京の若者よりいい暮らしをしているかもしれない・・・という仮説を提示してみた。*1

*1:ベトナムの若者にとって絶望的なのは、先進国への海外旅行である。これは金銭的な意味でも、先進国がベトナム人に観光ビザを出したがらないという意味でもそうである。でも、それ以外では、日本の若者とベトナム人の若者の生活で大きな格差はないかもしれない。ソフトウェア技術者はベトナムでは高給取りになる。ベトナムのソフトウェア技術者は日本のソフトウェア技術者よりいい暮らしをしてるかも(笑)