異なる文化をもつ人たちと働くということ

現代は、インターネットの普及によって、世界中の人たちの交流が活発になり、国境を越えて異文化の人たちと日常的に仕事をしなければならない時代になりつつある。

日本の会社はそういう時代の変化に対応できるだろうか。日本企業は、あまりに日本文化に依存しすぎていて、日本人しか働けないのではないだろうか。

たとえば、これを見てほしい。シンガポールに住む海外ニートさんのエントリだ。

「有給休暇の本来の使い方は、遊ぶため」です。

「有給休暇は本来、病気に備えるためで、遊びに使うものではない」という、あるサイトの主張を、海外ニートさんが痛烈に批判している。有給休暇は、法律上定められた労働者の権利であるとともに、雇用者の義務でもある。有給休暇の使い方については、特に定めはない。当然ながら遊びに使ってもよいはずだ。有給の病欠(sick leave)も義務化されている国も多い。しかし、「有給休暇は、病気の時にしか使えない」という雰囲気の会社が日本に多いのは確かだろう。有給休暇を毎年すべて消化している人は日本には少なそうだ。

いま外国人が、外国から来て、日本の会社で働くとしよう。彼には年に2週間の有給休暇が与えられたとする。彼が、2週間の休みを取りたいと言い、上司である日本人が「それは難しい」と言ったとする。上司は一体、その外国人に対してどういう風に説明するつもりだろうか。外国人の部下は、「就業規則には2週間の有給休暇がある。だから休みが取れるはずだ」と言うだろう。上司は、「これが日本だ」「日本に来た以上、有給消化率は50%まで」と言って、相手が納得してくれるだろうか。

一方、英語圏では、有給休暇が規定されていれば、それは文字通りのものだ。「建前はこうだが、実際にはそうではない」ということはない。すべてのルールが明文化され、制度と運用のギャップが小さい英語圏の企業は、「明文化されていないけど、こうするのが常識的に当たり前」的な話が少ないので、さまざまな文化的な背景を持つ人たちが一緒に働くのに適しているように感じる。

一方で、日本の会社がそのまま英語圏の会社のモノマネをしても、英語圏の会社以上のパフォーマンスをあげるのは難しいのではないか。日本には長い独自の歴史があり、そのなかで培われた独特の文化がある。重要なのは、日本文化の本質とは何か、ということを考え抜き、多様な文化的背景を持つ人たちと付き合わなければならない現代に適応した新しい形の日本文化を創造することではないだろうか。