ソフトウェア立国は無理でしょ

日本経済の生命線、製造業。その未来についての心配が、どうも頭からこびりついて離れない。

日本の電子情報産業のガラパゴス化からの脱皮を考える(その2)

このエントリを読んでいて、くら〜い気分になってしまった。

このエントリはまず

宮崎智彦氏は「ガラパゴス化する日本の製造業」の中で、デジタル化・グローバル化が進む世界市場で日本企業が勝ち抜くためには、韓国、台湾企業と直接勝負を避ける分野への進出が重要で、擦り合わせ技術や機械的な機構部品製造などが活かせる分野などが競争上優位だと指摘している。

とある提言を紹介する。これを踏まえて「しかしながら、日本の得意分野に集中するだけでいいのだろうか?」と異議を唱え、次のように主張する。

技術立国日本がやるべきことは「理論」「システム」「ソフトウェア」が三位一体となったソフトウェア技術の確立
・・・
自動車が電気製品になる日も遠くないのだとすれば、得意とするハード技術で勝負するという消極的な発想から一歩踏み込んで、理論、システム、ソフトウェアに見識のある新しいタイプの技術者を生み出す人材育成計画やこうした分野にチャレンジするベンチャー企業を強力にバックアップする取組みが喫緊の課題になっているということなのだろう。

あのちょっと言いずらいんですが・・・。それは、たぶん無理だと思いますよ。

著者の id:murakyut 氏は、「10年先のICT産業の姿を追いかける事業戦略アドバイザー」とのこと。おそらくはソフトウェア技術者であったことはないのだろう。日本のソフトウェア業界の実態は id:JavaBlack 氏が余すところなくよく伝えている。一言で言えば「日本人がよい設計で保守しやすいソフトウェアを安定的に生産するのは無理」。

もちろん、最先端の分野では、日本にも一匹狼的な優秀なエンジニアはたくさんいる。Ruby 作者のまつもとゆきひろさんとかね。ただメインストリームの SI 業界ではこうした優秀な人材が生かされる可能性はほぼゼロだ。この日本のソフトウェア業界の問題点は15年前から指摘されていて、一向に変わる兆しが見えない。10年先に大きな変化があるとも思えない。(外国勢に焼き討ちされて、ペンペン草も生えない状態になっている可能性はあるかもしれないが)

ソフトウェアでは欧米に勝ち目がない。ハードウェアも韓国・台湾・中国などのアジア勢の追い上げが急。日本は、挟撃を食らって、フラフラの状態だ。

ああ、もうこれはダメかもしれんね。誰か、脱出路を教えてくれ。