IT業界に関する統計(その2)
391 ソフトウェア業の研究
さて、前回の続き。日本の情報サービス産業≒IT産業の実態に迫るため、経済産業省の「特定サービス産業実態調査」を見ていく。
前回の表を再掲する。平成20年特定サービス産業実態調査(速報)の概況によると、次の通り。
事業所数 | 従業員数 | 年間売上高 | |
391 ソフトウェア業 | 12,300(前年比24.4%増) | 618,050人 | 14兆8,179億円 |
392 情報処理・提供サービス業 | 5,430(前年比14.4%増) | 238,645人 | 4兆0,035億円 |
で、そもそも「情報処理・提供サービス業」って何よ、というところで思考停止していたのだった。平成18年以前の分類では、この2つが「情報サービス業」として、同じカテゴリーに入れられていたらしいのだが、考えるほど、これはいわゆる私の考える「IT産業=プログラムを作るところ」というイメージから外れるので、もう考えなくてよいかと。とりあえずよくわからないので、勝手にやってください、と。
なんだかいろいろやる気もなくなってきたので、経済産業省の特定サービス産業実態調査のページを勝手に見てください、で終わらそうとも思ったが、それじゃあまりにアレなので、とりあえず「391 ソフトウェア業」について数字をあげつらってみる。
規模別の事業所数・従業員数・年間売上高(百万円)・従業員一人当たりの年間売上高
細かい数字は、ここから拾える。(平成20年特定サービス産業実態調査(速報) ソフトウェア業 統計表データ(Excel 2003形式))
規模 | 事業所数 | 従業員数 | 年間売上高(百万円) | 従業者1人当たりの年間売上高 |
4人以下 | 2,602 | 8,788 | 110,685 | 1,260 |
5人〜9人 | 2,286 | 18,557 | 227,037 | 1,223 |
10人〜29人 | 3,865 | 75,119 | 980,416 | 1,305 |
30人〜49人 | 1,388 | 57,999 | 775,141 | 1,336 |
50人〜99人 | 1,133 | 84,194 | 1,254,804 | 1,490 |
100人〜299人 | 763 | 134,749 | 2,433,931 | 1,806 |
300人〜499人 | 117 | 47,472 | 1,054,826 | 2,222 |
500人以上 | 146 | 191,172 | 7,981,078 | 4,175 |
合計 | 12,300 | 618,050 | 14,817,918 | 2,398 |
全国に12,300の事業所が存在するそうだ。ただし、これは会社ではなく、あくまでも、事業所(=オフィス)ベースなんで、大きな会社では複数のオフィスがあるということもありうる。まあ、零細企業が多い業界なので、1社=1事業所というのも多いだろうけど。
規模的には大体こんなかなー。ただ、やや意外なのは、「従業員4人以下」などという小さな事業所でも、従業員一人あたりの売上が1,260万円もあること。全体の平均は2,398万円。案外きちんと売上は上がってるんだなーという印象。実はこのほかにも、「ソフトウェア業務事業従事者1人当たりの主業年間売上高」という数字があって、どういうことかというと、プログラマなど実際にソフト作りにタッチしている人のソフトウェア作りから上がった売上高に関する数字で、「従業員4人以下」で、1,425万円になっている。これだけ稼ぐには、1425 / 12 = 118万円/月稼がなければならない。こんな小さなところが、こんなに単価を取っているとはにわかに信じがたいのだが・・・。
と書いているうちにからくりがわかってきたような気がする。要するにこの売上高は、たぶん外注分も含まれた水増しされた数字なんだろうね。つまり従業員4人の会社で5000万円売上あっても、そのうち2000万円は外注(下請)に行っているカネとか。ここらへんの数字も多少この統計は取り上げているので、次回見ていく。
疑い出すときりがないのだが、この統計には漏れが多いらしい。そもそも届出も要らずに始められる商売なので、ソフトウェア業の業者を把握するのは行政にとっては大変なんだろう。事業者数は12,300と前年比24.4%増だというが、さすがにここまで景気がいいわけはなく、実際「平成20年調査において新たに対象事業所の捕そくを行っている」と書いてあるので、零細業者を中心に相当数が新たに「発見」されたのだろう。可能性としてあるのは、もっと不景気な小さな業者がいまだに調査の網の目から外れているということ。統計の数字ってつくづく砂上の楼閣って感じがするね。
まー今日はこの程度でまた続きは明日〜。