IT業界に関する統計(その4)

391 ソフトウェア業の研究の続き

第1回第2回第3回の続き。日本の情報サービス産業≒IT産業の実態に迫るため、経済産業省の「特定サービス産業実態調査」を見ていく。

第4表 ソフトウェア業務の業務種類別の該当事業所数及び年間売上高

細かい数字は、ここから拾える。(平成20年特定サービス産業実態調査(速報) ソフトウェア業 統計表データ(Excel 2003形式))

業務の種類 年間売上高(百万円) 構成比
受注ソフトウェア開発 9,959,382 87%
業務用パッケージ 1,059,454 9%
ゲームソフト 261,620 2%
コンピュータ等基本ソフト 192,190 2%
合計 11,472,646 100%

受注ソフトウェア開発というのが、おそらくは一般的に SI 業務と呼ばれている仕事だ。その金額、約10兆円。この部分に関しては、外注費が水増しされているので、実質的な売上としては、8兆円に毛が生えた程度ではないか。(第3回参照)。一方で、「日本発ソフトウェアの代表選手」と目されているゲームソフトの売上は、わずか2,600億円。全体の2%を占めるに過ぎない。本当かいな・・・かなり意外である。基本ソフト(たぶん OS のこと)に関しては1,900億円程度(それでも1900億円も売上があるのね。汎用機関係なのかな??)で全体から見れば無視できる程度だ。(合計額が第1回の数字と合わないのは、これが副業の売上を除いた数字だからである)

日本のエンジニアのほとんどが、カスタムメードのソフトウェアを顧客のためにシコシコ作っている姿が浮き彫りになった。これじゃ、儲からないよね。

(参考)海外の有名 IT 企業のパフォーマンス

参考までに Wikipedia から拾った海外の有名 IT 企業のパフォーマンスを見てみよう。
(2007年から2009年まで時期はいろいろなので、参考程度に)

企業 年間売上高(百万円) 従業員数
マイクロソフト 5,777,261 92,736
ラク 2,092,500 74,802
SAP 1,600,000 50,000
Google 1,196,164 19,665

この4社だけで、10兆6000億円と、日本のソフトウェア業の(主業の)売上 11兆4000億円に匹敵する。しかし、従業員は、合計24万人程度しかいない。日本のソフトウェア業では、ほぼ同じ数字を約62万人もの人たちで分け合っているのと好対照を成す。これを見ると、日本のソフトウェア業の不効率性がよくわかるね。・・・と最後はかなり鬱な結論。

さーて、来週のサザエさんは?

というわけで、お送りしてきました「IT業界に関する統計」シリーズ、いかがだったでしょうか?意外な発見がありましたか?

次回は、ちょっと趣向をかえて、「GDPそもそもなんだっけ?」という話をしたいと思います。それではみなさん、さようなら〜。