で、結局いくら儲かるの?
日本では、カネの話をするのは一種のタブーである。スーパーで安売りのバナナを手に入れた話はできても、人々の収入や住宅ローンの支払い金額を聞くことはできない。*1
私は、IT 業界で技術者として長く働いていたが、なかなかカネの話をする機会がなかった。このシステムのプロジェクトのコストはいくら?そして、客はこのシステムからいくら儲けられるの?システムを受注したソフトウェアハウスの粗利は?財務的に見て、このプロジェクトを実行する価値があるの?ないの?
そんなことを考えても誰も数字を教えてくれないし、費用対効果も分からないまま、ソフトウェア作りに奔走するしかなかった。でもさ。趣味や人助けでやってるわけじゃないでしょ。ビジネスでやる以上は、利益を出さなかったらやる意味ないわけで。そんなものが見えないエンジニアの立場にすっかりうんざりしていた。
日本で重層下請構造を形成している SIer が大多数のソフトウェアエンジニアを抱えているのも、彼らしか売上げを持ってこられないわけで。それに比べると「クリエイティブなウェブ業界」なんてぜんぜん売上がないわけで。日本でも儲かってる Web 系の会社は皆無じゃないけど、数はすごく少ないよね。たとえば、
会社名 | 連結経常利益 | 連結従業員数 |
---|---|---|
楽天 | 445億円(2008/12) | 4,874名(2008/12) |
DeNA | 161億円(2009/3) | 635名(2009/11) |
ドワンゴ | 3億円(2009/9) | 713名(2009/3) |
という感じ。儲かっているウェブ系の会社を探せばまだまだあるとは思うけど、探し方がよくわからない。業界最大手の楽天でさえ、連結ベースで 4,874名しか従業員がいない。
もっと定量的に、日本の Web 業界の事業規模・収益状況を知りたいなあ・・・。スタートアップをやるのはいいけど、ゴールに関して明確な目標がなかったら走りようがないし。
*1:ちなみに、中国では、人々は開けっぴろげにカネの話をする。みな周囲の人たちの収入や資産を知っている