英語ができなくても海外には住める

もし日本の政治が変わらなければ、この流れは今後加速していくだろう。

若者の「海外流出」が止まらない! 冷え込む雇用がもたらす日本の衰退 | 格差社会の中心で友愛を叫ぶ | ダイヤモンド・オンライン

総務省の人口推計によると、2007年10月〜2008年9月までの1年間、日本人の国外流出数は10万人を超えました。過去20年間で最大の出国超過となっています。

私も日本を出たのが 2008年9月だから、この10万人の中のひとりだ。リーマンショック以前の数字なのに、すで日本に見切りをつけた人が多くいたということだろう。2009年の統計が出たら、この数はもっと多いのかもしれない。

私がさんざん、ここここで述べたように、いまや「いい大学 → いい会社」という必勝パタンが崩れつつある。これからも縮小していく日本の市場を嫌って、海外に出て行く若者たちは増えていくだろう。

私は、いつもみなさんに一度海外に出てみることを勧めている。すると「エリートだけが海外に逃げて、負け組は日本で野たれ死ねということか」と息巻く人がいる。私はエリートだけが海外に行く、という発想がなかったので、こういう反応には驚いた。

海外 → 英語 → 難しい→ わたしにはムリ、という連想なのかな。

実は、英語ができなくても海外には住めるのだ。

去年、久しぶりにバンコクを訪れて、日本人たちが大量に住んでいるのに驚いた。一説には10万人ほどの日本人が住んでいるという。日本人向けのレストランや商店が立ち並ぶエリアがある。ラーメン激戦区さえある。実際、口にすると自分が外国にいるのを忘れてしまうほど、おいしい本物の味である。シェフが日本人であるか、あるいは相当きちんと教育されたタイ人なのだろう。

タイは、物価が安く、住む場所も安い。ふらっと来て、長期滞在が可能な場所だ。私は、これから、日本が衰退するにつれて、ますます多くの日本人たちがタイにやってくるだろうと予想している。

多くの日本人たちは、英語もタイ語も話せない。それでも日本人相手の商売でメシを食っていけるのだ。今後、海外に住む日本人が増えれば日本語だけで暮らすことはますます簡単になるかもしれない。

考えてみれば華僑たちだって、特に外国語が話せたわけではなかった。トランク一つで、世界中のチャイナタウンに流れ着き、中華レストランの皿洗いから始めたのだった。

もちろん、英語や現地の言葉は話せたほうがいいとは思う。言葉に不自由のある人たちの、仕事の選択の幅は狭く、賃金は安くなりがちだ。何かとトラブルに巻き込まれる可能性も高い。

ただ、現実問題、日本経済が人々を雇用する能力を失っていくにつれ、こうした古典的な「食い詰め」型の海外移民が増えていくかもしれない。今日もまた、日本各地の空港から、そうした人たちが世界中に向けて出発しているのだろうか。