躍進する韓国・衰退する日本

最近、韓国の活躍がめざましい。

韓国はもはや勝ち目のない弱者に非ず 経済規模で英国やフランスを猛追 JBpress(日本ビジネスプレス)

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韓国に学べ! 少子化対策の切り札 二重国籍容認、移民社会へ大転換 JBpress(日本ビジネスプレス)

私は韓国には深い思い入れを持っている。10年前、カナダに渡ったとき、私を助けてくれたのは韓国人の学友たちだった。彼らと一緒に毎日コリアタウンの食堂に通いつめ、韓国焼酎(ソジュ)を飲んで語り合った。

思えば、予言的なことがあった。

当時、カナダ・トロントの英語学校の学生の二大民族は、韓国人と日本人だった。韓国人が4割、日本人が3割、その他の民族が3割、という感じだ。韓国人と日本人は、数ではほぼ同数だったのだが、中身はかなり違っていた。

日本人の学生は30歳前後の女性たちが多かった。7・8割はそうだったのじゃないだろうか。社会人を数年経験し、お金を貯めてカナダにやってきた人たちだ。彼女たちの主たる目的は、憧れのカナダで生活してみることで、英語は上達できればいいな程度の人たちが多かった。日本人の男たちは少なく、その多くは大学生が休学して一年ほど来ている連中だった。私のように、社会人経験を積んだ上で、仕事のため英語を学びにきている30歳前後の男というのは極端に少なかった。「男は会社を辞められない。辞めたら次がないから」ということらしい。

韓国人の場合、男6女4くらいの割合だった。当時は、男は兵役が終わらないとパスポートが取りづらかったらしく(政府は兵役忌避を恐れていた)、兵役が終わるやいなや、カナダにやってくる人たちが多かった。その目的は、実に身も蓋もないもので、英語テストの TOEIC の成績を上げるため。なぜなら TOEIC の点数が足りないと韓国の一流企業に応募できなかったからだ。その点数や恐ろしいもので、900点が当たり前という有様(満点は990点)。

金持ちの子息とかで羽目を外している連中もいたことはいたが、大多数の韓国人学生たちは実に熱心に英語の勉強に打ち込んでいた。トロントの中央図書館の勉強机は韓国人学生たちにいつも占拠されていた。(外国人にあれだけ公共施設をタダで使わせてやるカナダも相当太っ腹だ)

いま私は、サイゴンの Highlands Coffee という瀟洒なスタバ風カフェでこれを書いているのだが、客の半分位は韓国人である。彼らはこの近所にある有名大学でベトナム語を勉強している学生たちだ。午前の授業が終わって、カフェに宿題を勉強しにきているのだ。おそらくかなりの学生にとってベトナム語は第2・第3の外国語だろう。英語や中国語をすでに留学して習得している人たちも多いはずだ。ここまでやらないと韓国内でまともな仕事が得られないのである。まったく気の毒なくらいに激しい競争である。

日本でも競争はある。たとえば、こんな。

娘の就職がやっと決まった

このエントリで作者の娘さんが就職活動を始めて職を得るまでの1年半の間に学んだことは何か?エントリシートの書き方?企業に好かれるリクルートスーツの着こなし方?面接官に好感を与える応答の仕方?

日本の学生たちが「いかに企業に好かれるか」という一点に全力を尽くしている間に、韓国の学生たちは世界中で必死に語学や技術を学んでいるのだ。これが10年・20年と蓄積していけば、実力差は自ずから明らかになっていくだろう。

韓国経済の躍進が続くと、10年以内に一人当たり GDP で日本は追い抜かれる。日本人としては、正直、悔しい。だが、韓国の呪われた歴史を考えるとき、そして、いまもなお北朝鮮との対峙のため、若い男性たちを2年間も兵役に拘束しなければならないという政治的現実を考えるとき、こうしたハンディキャップを乗り越えて、躍進した韓国は実に立派だと思う。深い感慨を覚える。明日の日本のために、今日はこの活力あふれる隣人にエールを送ろう。