最小構成 Linux のインストール
VMWare Server に最小構成の Debian Linux をインストールしたので、メモする。
目的は、Rails 開発環境の構築。
(メモ書きなので、内容の正確さは保証しません。自己責任でどうぞ)
- http://www.jp.debian.org/CD/netinst/ から『「安定版 (stable)」リリースの公式な名刺サイズ CD のイメージ 』の i386 版をダウンロード。私の場合、debian-31r5-i386-businesscard.iso。
- VWMare Server で新しい仮想マシンを作った。設定は
- メモリ 160MB。
- ネットワークは NAT。
- 仮想ディスクを作る。(size = 1GB, Allocate all disk space now = no)
- 仮想 CD-ROM にダウンロードした iso イメージを設定。
- 仮想マシンを起動して、普通に Debian をインストール。最後の最後に追加パッケージを聞いてくるが、これを無視して、インストーラを終了。
- /etc/apt/sources.list に以下を追加(必要なら)
- deb http://http1.debian.or.jp/debian/ sarge main contrib non-free
- deb http://http1.debian.or.jp/debian-non-US/ sarge/non-US main contrib non-free
- $ aptitude install ssh
- $ aptitude install zlib1g-dev (あとで RubyGems のインストールに失敗するので)
- Ruby のソースを本家からダウンロード。展開して、
- $ ./configure
- $ make
- $ make install
- RubyGems のソースをhttp://rubyforge.org/frs/?group_id=126:RubyForgeからダウンロード。展開して、
- $ ruby setup.rb
- $ gem install rails -y
- SQLite3 のセットアップ
- Vim のセットアップ
[参考サイト]
VMWare | http://labs.unoh.net/2006/11/vmwarecentos.htm |
aptitude | http://debian.fam.cx/index.php?AptGet |
sqlite3 | http://d.hatena.ne.jp/moro/20061029/1162117114 |
vim | http://www.kawaz.jp/pukiwiki/?vim |
ActiveRecord の歩き方 - Association 編(4)
前回までの復習
この「ActiveRecord の歩き方 - Association 編」も今回で4回目を迎える。そもそもの疑問の始まりは、
▼コード 1 class Entry < ActiveRecord::Base has_many :comments end class Comment < ActiveRecord::Base end
というモデルにおいて、
▼コード 2 entry = Entry.find(1) entry.comments # <= ここに注目
の entry.comments の "comments" は何?ということだった。
いままで分かったことをまとめると、
- entry.comments の "comments" は Entry クラスのインスタンスメソッド(Entry#comments)
- associations.rb の has_many() から間接的に呼びだされた collection_reader_method() が Entry#comments を定義している。
- collection_reader_method() では define_method() を使って Entry#comments を定義している。
- その定義を見ると、Entry#comments の戻り値は HasManyAssociation オブジェクトである。
- HasManyAssociation は Entry#comments でインスタンス化されるが、このとき @finder_sql が作られる。@finder_sql は comments をデータベースから引き出すときの SQL 文の WHERE 節に当たる。
ということであった。
そしていま残っている疑問は、
- Entry#comments が HasManyAssociation オブジェクトを返すのにもかかわらず、なぜ p entry.comments とすると Array オブジェクトが表示されるのか?
ということである。今日はこの点を見て行きたい。
AssociationProxy
前回見たように、アソシエーション関係のクラスには次のような継承関係がある。
AssociationProxy は他のすべてのクラスのスーパークラスになっているので一番初めに読み込まれるものと考えられる。その AssociationProxy のクラス定義の冒頭に面白い部分がある。
▼コード 3: メソッド呼び出し禁止 module ActiveRecord module Associations class AssociationProxy #:nodoc: ... instance_methods.each { |m| undef_method m unless m =~ /(^__|^nil\?$|^send$|proxy_)/ } # <= 注目 ... (associations/association_proxy.rb)
- Module#instance_methods は、そのモジュールで定義されているメソッド名の一覧を配列で返す。
- Module#undef_method は、インスタンスに対してそのメソッドを呼び出すことを禁止する。
つまり、ここでやっていることは、AssociationProxy のスーパークラス(Kernel と Object) で定義されているインスタンスメソッドをいくつかの例外を除いて、すべて呼び出し禁止にしているのだ!まったく思いきったことをする。こういうことがいとも簡単にできてしまう Ruby はおそろしい。
ここまで見たところで、
▼コード 4
p entry.comments
とした場合に、何が起こっているか詳細に見てみよう。まず entry.comments が評価される。この結果は HasManyAssociation オブジェクトである。これを仮に assoc と呼ぶことにしよう。すると上行は次行と等価である。
▼コード 5 assoc = entry.comments p assoc # assoc は HasManyAssociation インスタンス
次に、p とはどんなメソッドか? refe すると、次のような結果が得られた。
▼refe の出力 Kernel#p --- p(obj, [obj2, ...]) obj を人間に読みやすい形で出力します。以下のコードと同じです。 (Object#inspect [Object/inspect]参照) print obj.inspect, "\n", obj2.inspect, "\n", ... nil を返します。
Object#inspect はオブジェクトの内容について人間に読みやすい文字列を返す。
したがって、上行はこう変形できる。
▼コード 6 assoc = entry.comments print assoc.inspect, "\n"
ところで、assoc.inspect を評価したとき何が起こるだろうか? 普通 inspect は Object クラスで定義されるインスタンスメソッドなのだが、実は assoc で inspect は呼び出しが禁止されている。「▼コード 3: メソッド呼び出し禁止」で見たように assoc は ProxyAssociation のサブクラスのインスタンスだからだ。assoc はあたかも初めから inspect() が無かったように振る舞い、代わりに method_missing() が呼び出される。*1
▼コード 7: ActiveRecord::Associations::HasManyAssociation#method_missing def method_missing(method, *args, &block) if @target.respond_to?(method) || (!@reflection.klass.respond_to?(method) && Class.respond # (A) _to?(method)) super # (B) else (中略) end end
@target とは何か?先回りして言うと、これは配列(Array)である。entry.comments の例を使うと、この @target に検索結果のComment インスタンスの配列が入っている。ここで、assoc.inspect を評価する。すると、assoc.method_missing(:inspect) が呼び出される。@target(=Array) は当然 inspect メソッドを呼び出しうるから、
- (A) @target.respond_to?(method = :inspect) は true になる
- (B) スーパークラスの method_missing が呼び出される。実際にはこの super が呼び出すメソッドは、AssociationProxy#method_missing である。
▼コード 8: ActiveRecord::Associations::AssociationProxy#method_missing def method_missing(method, *args, &block) if load_target # (A) @target.send(method, *args, &block) # (B) end end
これは短い。
- (A) load_target() できたら(後述)
- (B) @target に method というメッセージを送る。
ということである。load_target は名前のとおり @target をデータベースから読み込んでいるのだろう。いろいろゴチャゴチャ見てきたが、要するに self に送られてきたメッセージを基本的には @target に転送しているのである。だから、
assoc.inspect == @target.inspect
と考えてよい。だから p entry.comments の出力結果は Array になるのである。
まとめ
HasManyAssociation を Array に見せかけるテクニックは、
- まず HasManyAssociation のインスタンスメソッドをすべて剥ぎ取り、
- 定義されてないメソッド呼び出しについては、HasManyAssociation のインスタンス変数 @target(=Array) にそのメッセージを転送する。
の2段階で成り立っている。
まったくグタグタの文章になってしまった。目指す青木峰郎氏の文章のような明晰さは望むべくもない。まあいいや。これが私の実力である。次回は、「▼コード 8: ActiveRecord::Associations::AssociationProxy#method_missing」で出てきた load_target() について中身を見てみたい。乞うご期待。