オペラを見た
めぐろパーシモンホールでオペラを見た。お題は作曲モーツァルト・台本ロレンツォ・ダ・ポンテのコシ・ファン・トゥッテ(cosi fan tutte)。コシ・ファン・トゥッテとは「女はみんなこうしたもの」という意味で、恋人の貞操を試す男たちのドタバタ喜劇だ。非常に面白かった。
興味深かったのは、はじめにオペラについての解説があったこと。オペラは一連の歌曲で成り立っているが、歌と歌の間には独特の節つきで発声されるセリフの部分(レチタティーヴォ)がある。今回の公演では、このセリフの部分を日本語でやったのだが、「やっぱり原語じゃなくちゃ」というこだわり派への弁解か、歌手が試しに原語のイタリア語と日本語でそれぞれ歌って見せた。すると確かに解説者の言うとおり、イタリア語のほうが曲には合っているが、日本語のほうが(当然だが)非常にわかりやすい。日本語で、セリフをオペラらしく歌うように話すのはさぞかし難しかろう。
美しいオペラの歌声に聞きほれながら、なぜこの世界にはこんなに多くの言語があるのだろう、と考えていた。神は、バベルの塔を作った不遜な人間に怒り、罰として意思疎通ができない多言語の世界を作った。神の怒りが解けて、人類はふたたび同じ言葉で話し始めるのはいつになるのだろう?