本当の愛国心とは

また分裂君が私に向けてエントリを書いてくれたので(笑)、これは感想を書かざるをえない。

こういうことを言うと、「おまえに愛国心はないのか?」と言い出す人間が時々いますが、依存症と愛国心とは別の話です。

これは、結婚において、夫を愛していることと、夫に依存することが異なるのと同じことです。

経済的にも精神的にも自立していることと、夫を愛することは両立します。

夫婦仲は冷め切っていて、夫の暴力に怯えながら暮らしているにもかかわらず、夫に経済的に依存しているためにガマンし続けているような状態は、とても健全だとは言えません。

むしろ、特定の国にまったく依存していないにもかかわらず、その国を愛し、その国に貢献することこそ、純粋に打算抜きの愛国的な行為なのではないでしょうか。

私は、一週間前にこんなエントリを書いた。

いろいろ考えてきたが、今後20年間、日本経済が緩やかに衰退していく可能性が高いように私には思われる。これは、時代の趨勢であり、残念ながら誰の力によっても如何ともしがたい。一日本人としては、悲痛な状況である。だが、もしそれが不可避ならば、それを前提にして、自分の価値観のなかで、最善と信じる行動を選びとっていくしかない。そうやって突き放して考えれば、この日本経済全体の衰退という事実を逆手にとって、そこから利益を得ることも可能なはずだ。(マイナスサム・ゲームであっても、一部のプレーヤーがより多くの分け前を得ることは可能である)これは一見、「売国奴」的で非倫理的行動に見えるかもしれない。しかし、私はそうは思わない。

私が海外で5年間生活した実感から言わせてもらえば、人が外国に住むとき、母国のことを忘れて暮らすことができる日は一日たりともない。日本生まれの日本人は、誰であれ、はっきりと日本人としての民族的刻印を押されており、外国で暮らすときそれを隠し通すことはできない。

ある国での外国人の地位は、国際社会におけるその外国人の母国の地位に正確に比例する。日本人が、日本に住むアメリカ人をちやほやするのも、あるいは発展途上国出身者に対して馬鹿にした態度を取るのも、すべて彼らの母国の地位の反映にすぎない。分裂君の言うことは正しいが、もし日本という国が本格的に没落したら、いずれにしろ海外においても日本人の評価はがた落ちとなり、厳しい生活を迫られることになる。

であるから、私は日本という国にはぜひがんばってもらいたいし、がんばってもらわないと困るのだ。

ただ私は分裂君を批判しているわけではない。彼の示した処方箋は私の経験に照らしても正確だと思う。外国で平気に稼いで暮らせるような日本人が増えるくらいに、日本人のバイタリティが復活すれば、日本本体の経済も上向くことだろう。重要なのは、彼がいうとおり「日本依存症」はいけないということだ。日本の内外で働くことができ、日本という国家と丁々発止つきあえる人材が、あえて日本の国内にとどまり、仕事をすることには何にも問題がないし、むしろそういう人間たちが日本を引っ張っていくことになるだろう。

そういう人間になるためには、何をしなければならないか、日々考え続けている。