フエ到着

朝、バスの中で目が覚めると、車窓の外には、ジャングルのような鬱蒼とした緑が広がっていた。まさにベトナム戦争の映画に出てくる風景そのものだ。アメリカはよくこんな国にきて戦争をしたものだ。アメリカ兵たちは、自分の故郷の風景とのあまりに違いに、さぞかし心細かっただろう。このバスの中にはおそらくアメリカ人旅行客も乗っているだろう。いまも形を変えて、アメリカとベトナムの関係は続いている。幸いにはるかに平和的な形で。

フエへ続く国道は、ときどき渋滞して流れが悪くなる。バスがしばらく停車しているとき、ベトナム人のおばさんが3人ほど、おもむろに道端にしゃがみこんで用を足し始めた。バスがすぐ隣に止まっていて、車窓から丸見えなのに。やれやれ。

フエに到着。旧市街はきれいに整備されている。バスは、新市街のゲストハウス街に到着。狭い通りに大型バスが止まり、荷降ろしが始まったから通りは大混乱。外国人旅行客を当て込んだホテルの従業員やバイクタクシーの男がわらわらと寄ってきて、ちょっとしたお祭り騒ぎである。結局、バスが泊まった目の前にあるホテルに宿泊することにした。一泊9ドルだが、ツインルームでバルコニーまで付いている。欧米人旅行客が開拓してくれているおかげで、ベトナムの個人旅行は本当に簡単だ。