ハワイ・ホノルル到着

USCPA 受験のため、ハワイ・ホノルルに来ている。

成田空港から中華航空機に乗り込んだ。私がさっそく教科書を広げて読みはじめると、隣に座った肌の浅黒いアジア系の若い女性が、私に話しかけてきた。「あなたは会計士?」 聞くと、彼女はハワイの大学で会計学を勉強しているそうだ。中国本土の出身で、4年前に家族でハワイに移民した。今回は中国を旅行した帰りとのこと。同じアジア系の私には親しみを感じるらしく、しばらく会計学について話が弾んだ。かつて、カナダにいた頃、他の韓国系・中国系の人たちと、親しく英語で話をしていたころを懐かしく思い出した。アメリカの乾いた空気は、同じ匂いがするアジア系の人間たちの間にほのかな連帯感をあたえる。

現実には、アジアでは、日韓中はいまだにいがみ合っている。アジアを一歩出てみれば、同じ東アジア人として、相違点より類似点のほうが多いのにも関わらずである。愚かしい話だが、それは東アジアだけの話ではない。インドとパキスタンの対立もそうだし、中東のさまざまな紛争もそうだ。英語圏の国々では、こうした相対立しあう国々からやってきた人たちも、比較的仲良くやっている。圧倒的な多民族社会にやってきて、同じ地域の出身者たちは、むしろ類似点の方が多いことに気付くからだろう。

こういう鳥瞰的な視点を得るために、若い日本人が英語圏でしばらく勉強したり働いてみるのは、教育上非常によいのではないかと改めて思った。

ホノルル空港の移民局審査官は、よく日焼けした日系人のオジサンだった。ローマ字表示の名札からそうとわかる。ワイキキへ向かうエアポートバスの集金係は、小錦をそのまま小さくしたような愛想のよい若い男で、なるほど小錦はやっぱりハワイ出身だったのだなあ、と妙に感心する。

ふだん、さんざん英語について偉そうなことを言っている私だが、ネイティブスピーカー同士のくだけた会話はほとんど聞き取れない。でっぷり太った2人の空港職員のオバチャンがなにやら早口で話している。一人のオバチャンが「全くホントやってらんないわよ」となにやらしきりに憤慨している様子。2秒に1回、4文字の罵倒語が挿入されることからその怒りが分かる。もう一人は「あら、そう・・・。それはひどいわね」という感じで相槌を打っている。

ホテルに到着してフロントの受付係と会話すると、今度はやたらに簡単な英語で話しかけてくる。英語が全くダメな日本人たちに相当懲りている様子である。短く簡潔に言ってくれたほうがこちらも分かりやすいので、悪くはないのだが、ややバカにされている気もしなくもない。

私は、カナダで本格的に英語を学んだ。ネイティブスピーカーに対しては常に英語力で引け目を感じていたので、自分が英語が出来ると思ったことはなかった。私はいつまで経っても典型的な「英語の下手な移民」であった。一昔前で言えば、東北から東京に出てきて、「ズーズー弁」がいつまでも抜けずにコンプレックスを抱く人のようなものだ。できれば次世代の日本人にはこんな思いをさせたくないのだが・・・。

ハワイは、青い空、白い雲。温度・湿度ともに快適である。ハワイを世界的な保養地の地位に押し上げたのは、この完璧な気候なのだと改めて感じた。とりあえず、明日から4科目、4日間で合計14時間の試験を受けなければならない。体力的にもハードな試験なので、体調管理を万全にして臨みたい。