韓国問題の「劣等感」という本質

私は韓国とはそれなりに関わって来た。韓国に語学留学して韓国語能力試験の5級(6級が最高)に合格したこともある。たいていの日本人よりあの国の良いところも悪いところも分かっているつもりだ。

反日的な韓国人の行動が日本で報道されることはあるし、それは確かに事実だ。それに日本人が腹を立てるのも分かる。だが、なぜ韓国人がそういうことをするのか、彼らの立場に立って少し考えてみるといい。

日本人にとっては、日本と外国の関係 - たとえば日韓・日中 - がすべてに見えるかもしれない。だが、韓国から見れば、日本は特別に縁が深いとはいえ、一つの外国にしかすぎない。韓国は、日本にだけ反発しているわけではない。反米デモもするし、中国に激しく反発することもある。

朝鮮半島の歴史は数奇だ。半島は大国の通り道となり、そこに住む人々は蹂躙されやすい。朝鮮半島はそういう大国の思惑に常に翻弄され、政治的不安定を運命づけられて来た地域だ。

韓国を嫌う人たちには、いまいちど、朝鮮半島の歴史を振り返り、政治的に弱い立場におかれた人々が、かつての日本のような大国に対して、どういうふうに反応したであろうかを想像してほしい。

朝鮮半島の人々は、大国の行動に翻弄され、むしろ歴史的に劣等感を抱いて来た。時折見せる尊大な態度はその裏返しと考えれば合点がゆきやすい。その結果、彼らが不合理に厳しい姿勢を日本に見せたからといって、いちいち腹を立てていたら、相手と同じ水準になってしまう。

私も、多くの嫌韓派と同様に、日本政府が韓国政府に対して、歴史的経緯から、堂々とした主張を差し控えることを残念に思っている。本当によき隣人になりたいなら、例えば韓国の偏向した反日歴史教育等に対して何らかの主張をしてもよいはずだ。率直な意見交換こそが真に友好的な関係を作る。

嫌韓派は、フジテレビなど相手にするよりむしろ、日本政府に対して韓国に毅然とした態度を取るように求めた方が良いのではないか。また、あるいは直接、韓国政府に対して、在日大使館など通じて申し入れをしたほうがいいのではないか。

日韓関係は日本にとって、世界で一番難しい二国間関係なのは間違いない。隣国との関係が一番難しいのはどの国も同じなのだが。嫌韓派に要望したいのは、日韓関係をここ数十年だけの問題としてではなく、もっと長い歴史と広い視野から捉えてほしいということだ。日本を中心におくのではなく、朝鮮半島の住人になったつもりで世界を眺めたら、どういうふうに見えるかという想像力をもってほしいということだ。その上で、主張すべきことは大いに韓国に主張したらいい。

歴史的に韓国の行動を特徴づけてきたのは「劣等感」とその反動の「虚栄心」だった。ただ、ここ10年間の韓国は着実な経済成長が続き、こうした歴史的な劣等感が和らぎつつあるのを肌で感じる。日本に対する視線もだいぶ鷹揚になってきている(とはいえ公式に「親日的」態度は取れないのだが)。日本の経済的地位が低下するにつれ、韓国での特別な位置づけも薄れて来ているようだ。一方で、日本は経済が衰退する中、こうした韓国の「傲岸な態度」に耐えられないという人たちが増えているように感じる。日本に余裕が失われてきているのかもしれない。

嫌韓派の一部には、自分の劣等感を補うために活動している人たちもいるように感じる。韓国自身の劣等感が同じく劣等感を持つ日本人を誘蛾灯のように引きつけるのだ。こういう人たちには、どうか自分自身の生活により深く目を向けるように勧めたい。韓国がどうなろうとその人の本質的な問題は解決しないからだ。こういう「恵まれない人たち」が嫌韓派の一部にいることを私たちは理解し、彼らの現実の生活改善を支援すべきなのかもしれない。

(追記)
書いてから思ったけど何はともあれ「劣等感」という書き方はよくないね。「おまえは劣等感を持ってるだろ」と言われて気持ちがいい人間はいない。私だって劣等感はあるし、それをズバッと言われたら気分は悪いし。「劣等感」=「劣等」ではないので、その点はよろしくね。時に実力のある人でも自信がないと劣等感を持つことがあるから。自己評価の問題。