コワーキングスペース・渋谷 Jelly Jelly Cafe

今日は渋谷のコワーキングスペース Jelly Jelly Cafe を訪れた。

コワーキング(coworking)は最近注目を集めつつある新しいワークスタイルである。

IT 技術の進歩によって、PC とインターネット接続と電源さえあれば、作業可能な仕事の種類が増えつつある。新メディア論の重鎮・佐々木俊尚氏は、「仕事をするのにオフィスはいらない」と喝破した。ノマドワーカーの誕生である。

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)

たしかにその通りなのだが、「じゃあどこで仕事をしたらいいの?」という問題は残った。自宅は第一候補だ。だが、いつも家に籠っているのはあまりに孤独だし、気が詰まる。たまには外で作業したい。仕事仲間と打ち合わせもしたい。

第一の受け皿はカフェだった。ところが日本のカフェは、回転率を重視し、長居をする客に極度に敵対的である。回転率低下と客とのトラブルをおそれたカフェは、海外では当たり前になっている無料 Wi-Fi はおろか、電源コンセントさえ蓋をして使わせようとしない。

この点に関して私はツイッターで大激論を交わした。その戦いの記録は以下の通りである。同様の問題意識を持っている人たちにはたいへん興味深いはずだ。

カフェはどうして電源を貸してくれないのか? - Togetter
カフェはどうして電源を貸してくれないのか?(パート2) - Togetter

この論戦のなかで、ある方から「コワーキング」という概念を教えていただいた。

コワーキング - Wikipedia

コワーキング(Coworking)とは、事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う共働ワークスタイルを指す。

新しく広がる「コワーキング」という働き方:日経ビジネスオンライン

サンフランシスコやニューヨークといった米国の先進的大都市から始まったこの新しいワークスタイル。ノマドワーカーが組織から独立して働きながら、孤独を避け、かつお互いに刺激し合うことで新しい発想を生む。「これこそ私の求めていた空間だ」と私は思わず膝を打った。

素晴らしいことにすでに日本にもいくつかコーワキングスペースが誕生しつつあるという。

コワーキングスペースの一覧:
「こわーきんぐ?ってナンデスカ?」という Coworking を知らない友人へ | ウエツハラ

その中の一つがJelly Jelly Cafe だ。

Jelly Jelly Cafe は、渋谷の東急ハンズから1分。オシャレでヒッピー的な雰囲気を漂わせる通称シスコ坂とよばれる坂に面した1階に位置している。

コワーキングスペースJelly Jelly Cafe は渋谷東急ハンズ徒歩1分、ヒッピーぽい雰囲気をたたえるシスコ坂にある... on Twitpic

入り口の看板。

入り口の看板。 on Twitpic

店内の風景。
Jelly Jelly Cafe 店内風景その2。 on Twitpic

iPad を掲示板かわりに。今風である。 on Twitpic

2時間500円でドリンク飲み放題って太っ腹すぎませんかね、社長さん(笑)... on Twitpic

Jelly Jelly Cafe は渋谷ぽく音楽設備も凝ってます。... on Twitpic

決して広くはないが、心地よい音楽が流れ、リラックスした雰囲気である。当然、電源+無料 Wi-Fi 完備。料金は2時間500円か、1日1000円(10時-18時)の選択制。月額制のような縛られる料金体系でないこともノマドな利用者には嬉しい。バーエリアがあり、無料でコーヒーやジュースなどが飲める。社長、ちょっと太っ腹すぎませんかね(笑)。

Jelly Jelly Cafe のオーナーの白坂翔(@shoshirasawa)さんにお話を伺った。クールなイケメンの27歳である。

Jerry Jerry Cafe オーナーの白坂翔さん。クールなイケメン27歳である。... on Twitpic

―このコワーキングスペースを作ろうと思ったきっかけは?
「今年(2011年)の4月に下北沢のオープンソースカフェを訪れたのがきっかけです。すごく面白かったので自分でもやれないかと思いました。最初は友人のバーを借りて、週1回のペースでイベント的にやっていたのですが、案外反応がよくて。需要は確実にあるな、とおもって、この Jelly Jelly Cafe をフルタイムで始めました」

―いつから営業しているのですか?
「今年の9月に始めたばかりです」

―本業はウェブ制作会社とか?
「はい。株式会社ピチカートデザインという会社で、ウェブ制作をやっています。主に受託開発ですね。Jelly Jelly Cafe のサイトも自分たちで作りました」

―というとオフィスもこの近くにあるのですか?
「いや、このカフェ自体がオフィスなんですよ(笑)。以前はマンションの一室を使っていたのですが、手狭になってきて。だったら、自分たちが作るコワーキングスペースに引っ越してしまえということで(笑)」

コワーキングスペースに会社ごと引っ越すという大胆さに私はしばし呆然)

―お客さんはどういう方が多いですか?
「様々な方々に来ていただきたいのですが、やはりいまのところウェブ制作関係者が多いですね。TwitterFacebook を見て来ました、という方が多いので。そういうツールに精通している、となるとやはりウェブ制作関係者が中心になってしまうのかもしれません」

―なんか価格設定が安すぎるような気が(笑)?儲かるんですか??
コワーキングスペースといってもいろいろだと思うんですが、ウチの場合は、ウェブ制作会社のオフィスを兼ねているということもあって、これでバリバリ儲けてやろうというわけではないんですよ。本業で儲からないと困りますけど(笑)このカフェの売上で家賃分くらい出ればいいかな、という感じで。ボードゲームのイベントもときどき開いたり、楽しみながらやっていこうと思っています」

―イベント会場としても使えるとか?
「はい。もともと WordPress 界隈とは付き合いが多いのですが、WPJelly という勉強会を週1のペースでやっています。あとは mixi さんとコラボで尖ったエンジニア向けのイベントを月1で定期的にやっていこうという話しになっています(第1回目の告知ページ)。 告知ページがまだできてないですけど、次回は11日18日(金)の19時〜の予定です。他にも貸し切りのイベントを歓迎しますのでお気軽に声を掛けてください」

この沈滞した雰囲気の日本に、こんなに若々しく新鮮な感覚のカフェがあることは嬉しい驚きだった。電源や Wi-Fi が欲しいとき、ゆったりとした気持ちで仕事をしたいとき、あるいは、似たような仲間の話し相手が欲しい時、渋谷のJelly Jelly Cafe に足を伸ばしてみたらどうだろうか?私はこうしたコワーキングスペースを全力で応援したい。また折にふれ、他のコワーキングスペースも訪問してみるつもりである。

P.S.
Jelly Jelly Cafeは、スタッフや他のお客さんに気軽に声をかけられる雰囲気のカフェである。この記事を見て訪れた方がいらっしゃったらぜひ「書評人の中の人(@elm200)の記事を読んで来た」とオーナーの白坂さんに声をかけてあげてください…。