思考は現実化する


ナポレオン・ヒル著「思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき」は、泣く子も黙る最強の元祖自己啓発本である。なにせ19世紀末に活躍した鉄鋼王アンドリュー・カーネギー成功哲学を20世紀前半にナポレオン・ヒルがまとめた作品なのだから。この本はさらにその後継者を自称するクレメント・ストーンによる改定新版であり、日本では1999年に出版されている。私は10年前にもナポレオン・ヒルを読んでいるのだけれど、この改訂版はよりわかりやすい。


ナポレオン・ヒル哲学の核心は、本書のタイトルの通り「思考は現実化しちゃうよ」ということだ。成功したければ、自分が成功した姿を具体的に思い浮かべ、絶対成功するのだと信じ込め、と。そのことが様々なエピソードを通してこれでもかこれでもかと繰り返し説かれている。10年前読んだときは「面白いけど、ちょっとウサン臭くもあるな」と思ったものだが、久しぶりに読み返すとこの本に書かれていることはまさしく真実だと思う。では、なんでこの世に成功者がこんなに少ないかといえば、「成功した姿を想起して、成功を確信する」ということが実際なんとも難しいからだ。いくら「絶対成功する」と自分に言い聞かせても、なかなか普通の人間には信じ込むことが難しいよね。ただ、実際に信じ込むことに成功したら、ほとんどの場合、本当に成功するのではないか、とは思う。それは、最近、自分が経験したある体験からもそうではないかと。(その体験については、ちょっとここでは書けないけど)


ナポレオン・ヒル哲学は、実行が非常に難しいので、あんまり高望みする必要はないのではないかな。この本に書かれていることの100分の1でも、きちんと実行できれば平均以上の成功を収めるのは間違いない。


人間が持っているビジョンの力というは、一般に考えられているよりずっと大きいのではないか。ある状態を詳細に頭の中で思い浮かべることができれば、それは半分実現したも同様だ。


本書に書かれていることを全部同時に実行するのは、凡人にはほぼ不可能なので、とりあえず自分なりの「成功」の定義をはっきりさせることからはじめたいと思う。鉄鋼王に対抗して、あまりにも壮大な目標を掲げても所詮絵に描いた餅になってしまうので、身の丈よりちょっと高い程度の目標を掲げることにした。


僕にとって、成功は、精神的・社会的・経済的なものを含んでいる。やりがいのある仕事・尊敬できる仕事仲間・悩みを相談できる友人・安らぎをえられる家庭・経済的な豊かさ・心身ともに健康、そういうものがバランスよく含まれた状態が僕にとっての成功だ。まあ、これだとあまりに抽象的なので、一応次のように言ってみる。


1. 職場では仕事仲間との調和があり、お互いに尊重しあっている。
2. 3年以内(2009年末)に、年収1500万円を達成する。
3. 2. は合法的なやり方により、自己の健康と家族との調和を乱すことなく達成される。


2.はきついかなあー。でも3年もあるし、方法を具体的に考えればなんとかなるような気もする。やっぱり、親にも楽をさせてやりたいし、家族の将来のためにもお金もある程度ほしい。年収1500万円あれば、かなり余裕ができるだろう。しかし、その成功は他者との調和のもとになされなければ意味がない。誰かを犠牲にして、あるいは道徳や法律に反して、大金を稼いでも結局は自滅することになるだろうから。


自己分析すると僕が一つの仕事が長く続かない理由は、職場での人間関係があまりよくないからだ。仕事仲間に恵まれない、それが僕の主観的な印象である。しかし、人間関係というのは本来、反射的なものである。自分が誰かに対して仕事がしづらいと感じていたら、相手も自分に対して同じ気持ちをもっているのが普通である。おそらく僕自身があまりに頑な部分があったのではないか。仕事仲間たちと笑いながら仕事をし、仕事自体を楽しくしたい。そうすれば、道は自然に開ける気がする。