I Have a Dream

かつて Martin Luther King, Jr はそう言った。でも自分の夢を公にするのは、なんだか恥ずかしい。きっとその夢に対してツッコミを入れられることを恐れるからだろう。

私には夢がある。最近、それが何なのかおぼろげにわかってきた。私は、生産性の高いソフトウェア開発のチームを作りたい。XP で代表されるようなアジャイル開発の考え方はそれに近い。

私は、大学では経済を学んだが、紆余曲折の後、プログラマになることになった。1996年のことだ。3年後、日本のソフトウェア業界に絶望して、カナダに渡る。しかし、外国でも自分の理想の職場は見つけられず、3年前に日本に舞い戻った。

自分に理想があるなら、それを探し出すのではなく、作り出すべきなんだ。

日本人は、世界的に見ても、非常に教育水準が高く優秀な労働者が多いと思う。これは、いろんな国を見てきた実感である。日本にも優秀なハッカーたちは大勢いる。なぜ、この人たちの高い能力を経済的価値に変換できないのか?

これは、技術的な問題ではなく、むしろ経営的な問題である。

日本XPユーザグループ会長・倉貫さんの問題意識は、私のそれに非常に近い。

そうなったときに、今のディフェンシブな開発の延長上に、SIerの未来は無いと思える。そういう世の中になったとき、今後どうしていくべきか考える時期に来ているのではないか。むしろ、その変化を待つのではなく、未来に向けたSIerのビジネスモデルを考え、ゲームのルールを変えてしまえば、輝かしい未来となるかもしれない。そうなってしまうと、もはやSIerとは呼べないかもしれないけれど。

つまり、現場での改善活動も重要だけれども、ドラスティックに今の問題だらけのSI業界を変えてしまうには、SIerのビジネスモデルを変えるしかない。現場の改善活動ってことでアジャイルの普及とかしているけれど、そもそものビジネスモデルを変えるためには、経営者の判断が必要になる。それも、ある程度影響力のある企業の経営者でなければ難しいだろう。独立してフリーランスになったとしても、同じゲームのルールに従っていては勝ち目はない。

私は、日本の大手 SIer に対する違和感をいまだに捨てきれない。何かが根本的に間違っている気がするのだ。そのもやもやの原因が何なのか、上のエントリを読んで少し解決した。つまり、SIer は本質的に保守的で、技術革新に対して常に腰が引けているだ。業界の外側の人たちには、信じられないかもしれないが、SIer たちは新技術に対しては常に懐疑的で、憎しみさえ抱いている。なぜかといえば、それが彼らのビジネスモデルを脅かすからである。

だが、ソフトウェア開発は、ほぼ純粋に知的な作業であり、技術革新がダイレクトに生産効率の向上につながる分野である。マクロ的に見れば、生産性の向上がなければ、生活水準を向上させることができない。(まあ、ここらへんの話を純粋に経済学的に論じると話が収束しないので、ここではそういうことにしておく)技術革新と生産性の向上に背を向けた産業がたどる末路は、昨今の農業や建設業を見ればよく理解できるだろう。

私は、ソフトウェア開発での技術革新がスムーズにソフトウェア開発に取り込まれていく仕組みを作りたいのだ。主眼は、生産性の向上である。そのことによって、顧客は以前より安くかつ早く製品を手に入れることができてハッピーになれるし、エンジニアも新しい技術を使うことができてハッピーになれるのではないか。

やれやれ。私がこういうことを言い出すと、また正反対の意見とかが出てくるんだろうな。この手の発言がかなり政治的な色彩を帯びるのは私も覚悟している。しかし、そろそろ、自分の立ち位置を鮮明にすべきときが近づいている。