黒船はいつ来るのか?

今週のモーニングの「専務 島耕作」が面白い。「島耕作」シリーズは初芝電気という架空の総合電機メーカーに勤めるサラリーマンのサクセスストーリーだ。初芝は、まあ東芝ソニーあたりか。80年代にブイブイ言わせた「課長 島耕作」もいまや59歳になり、専務まで上り詰めた。今週のお話は、島専務が、ニューヨークにあるアメリカ現地子会社の本社を訪れるところから始まる。島耕作が「アメリカの市場はどうか?」とハツシバアメリカ社長に尋ねる。

「それが・・・はっきり言ってきついです。韓国製品がどんどん売り上げを伸ばしています」
「ソムサンと PG ・・・とりわけソムサンは驚異です。広告費の投入も凄いし安い価格と高性能で日本製品を圧倒し始めています」

「え?性能も負けている?」と島耕作は驚く。ひとしきり、現地法人社長が危機感を表明した後、とどめのセリフに続く。

「私は、ここ数年のうちにソムサンあたりがうちを含めた日本の家電メーカーを高い確率で買収に来るのではないかと思っています」
初芝も M & A 防止策を本社で考える時期が来ているのではないでしょうか?」

作者の弘兼憲史氏は、漫画を描くに当たって入念な調査をする人である。今週の話も何の根拠もなく出てきた話だとは考えづらい。むしろ、これが現実ということなのであろう。

日本の総合家電メーカーは、優秀なエンジニアを抱え込みながら、最近は独創的な商品を世に送っていないし、低収益にあえぎながらも業界の地図を書き換えるような大規模な再編は自力でできないようだ。ならば、外国企業に買ってもらい、大規模なリストラが行われれば、総合家電業界が変革され、日本経済も大きな刺激を受けることになるだろう。家電メーカーは、日本の IT 産業の重層下請構造を維持強化している犯人の一人だと思うし、日本の家電メーカーの一角が崩れれば、IT 産業も変わるかもしれない。

早く来ないかな、黒船。