論評『さらば!「豊かな国日本」』

まったくそのとおりだ。I could not agree any more. それなのにはてブには否定的な意見も目に付く。曰く「統計の取り方が恣意的」とか。やれやれ。こういうことを言ってくれるだけ、ありがたいとなぜ思えんかなあ。本当に日本に見切りをつけた人たちは、無言で裏口から逃げ出しているのにね。

日本経済の軌道がこのまま変わらないと仮定して、普通の日本人にとって 3 つの対処の方法がある。

1. 日本から逃げ出す。
2. 日本の中でカネを儲け、日本が沈没しても救命ボートには乗れるようにしておく。
3. 何も考えず、努力もせずに、ただ貧しくなる。

言っとくけど、清貧なんてものがこの世に実在すると思わないほうがいい。貧しさというのはみじめなものだよ。本当の貧しさを知らない人間だけが、清貧なんていう幻想を胸に抱くようになるのだ。「これからは清貧だぜ、イエイ」とか言っている人がこれだけ多いのは、それだけ日本が豊かだったということか。

私は、4年前に中国に半年間住んでいたとき、貧しさとはどういうものか思い知らされた。中国にはそこらじゅうに薬局があって、絆創膏一枚、薬一丸からバラ売りしてくれる。これはなぜかというと中国には収入が少なくて病院にいけない人たちがたくさんいるからだ。中国でまともな病院に行くと、簡単な病気で 300 元とかすぐとられる。ところが肉体労働をしている人たちの平均月収は当時 700 元くらいだった。これじゃ普通のひとにとって病院なんて軽々しくいけるわけがない。貧しいってそういうことなんだよ。中国人がなぜあれほど金に執着するかよくわかる。中国で金がないというのは、死ねといわれているようなもんだからだ。いま中国はそんな連中が何億人もいて、必死になって働いている。やりすぎて人を騙す連中もいるが、ことバイタリティに関しては、日本人など足元にも及ばないよ。

上の選択肢の中でわざと省いた項目がある。これは実は理想的なシナリオではあるのだが。

4. 日本人が、再出発の覚悟を決め、既得権益化した非効率的な経済セクター(政府を含む)を整理して浪費されていたリソースを解放し、世界のトレンドに敏感になり、世界の人々により喜ばれる財・サービスを生産するようになる。

こうすれば、相対的に貧しい人たちも、絶対的にはより豊かになり、日本はますます平和で暮らしやすい国になるだろう。ただ、ここにたどり着けるかは不明確である。純粋に個人主義的に考えれば、4. はバカげている。既得権益者との政治闘争のなかで、敵に刺されて死ぬかもしれないからだ。普通に考えれば、1. か 2. か?

私は 1999 年に一度日本を逃げ出した。カナダの永住権まで取り、かの地に骨をうずめようとまで本気で思ったときもあった。つまり一度は 1. の選択肢を取ったことになる。紆余曲折があって、日本に戻ってきてしまったが。このいきさつはまた後で書く機会もあるだろう。

いま私がやっていることは、実質的には 2. に当たるだろう。ただ、このまま日本経済の衰退が進行し、円の価値が下がれば、円でカネを稼ぐというビジネスモデルは非常にリスキーになる。そうするとまた 1. を検討せざるを得ないか?あるいは、戦死することを覚悟して、母国のために闘う 4. の選択肢をとるか?犬死する覚悟はまだない。今日も迷いは続く・・・。