シンガポールビザの現状

シンガポールとは

シンガポールは、東南アジア・マレー半島南端にある熱帯の都市国家である。海運交通の要衝として、古くから貿易港として栄えてきた。Wikipedia「シンガポール」に詳しいので参照のこと。

永住権を大判振る舞い?

そのシンガポールだが、最近、永住権を大判振る舞いしているらしい。これは盲点だった。

2001年にシンガポールに来て、それなりに時間が立って
いますが、先週PR(永住権)申請をパスした通知が来ました。

今まではPパスという就労ビザで3年おきに更新という形でした。

学歴、資格、職歴、給与など詳細を示した書類を記入し、
申し込んでから2ヶ月半くらいでしょうか。

この方は、シンガポールに住み始めたのが数年前だとはいえ、申し込んで2ヶ月半で永住権が得られるなんて、他の英語圏の国にはありえないスピードである。

下のエントリは、作者 Glen さんがシンガポールで働き始めて一年程度で永住権を申請したが、却下された、というお話。そのコメント欄が面白い。

こんにちは、私、現在、シンガポールで就職すべく日本にて活動しています。

いずれは、シンガポールで永住権を取りたいと考えているのですが、先日、偶然知り合った方から恐るべきことを聞いてしまいました。

その方は、シンガポールの某有名大学で数年教育を受けた方(学位は、学士か修士かは不明)なのですが、ITが専攻だったそうです。ご出身は、某国としておきます。

驚くべきことに、大学を出て1ヶ月したらシンガポール政府が永住権をくれたとのこと。

しかも、この数年ほどシンガポール国外で居住しているのに、永住権が取り消されおらず、5年か10年に一度、ビザを更新すれば良いとのことでした。

通常、カナダ、オーストラリア、アメリカの永住権は一定以上、自国内に居住しなければ、永住権が取り消される国もあるのに、シンガポールはかなり寛容ですね。

民法というものは、内容がよく変わるのが常ですので、今がシンガポールの永住権の取り時かもしれませんね。5年後、今のように永住権を乱発しているとは限りませんからね...

確かにいまシンガポールは永住権が取りやすいのかもしれない。

就労ビザも取りやすいらしい

永住権への第一歩として、シンガポールでの就労がある。就労ビザもいまは比較的取りやすい状況にあるようだ。

やはり上の Glen さんのブログエントリで知ったのだが、なんとシンガポール政府は、「あなたがビザが取れるか診断します」というウェブサイトをやっているのだ。なんというぶっちゃけぶり。こういう透明性には惚れるなあ。

就労ビザ自己査定ツール

サイト自体も某国国税庁の確定申告のページとはちがって、なかなか垢抜けたデザインになっている。完了するのに数分も掛からないので、興味があったらぜひどうぞ。(政府なのにマーケティングのうまさには舌を巻く)

ちなみに私の結果は、

Results

Based on the information you have provided, you are likely to qualify for both an Employment Pass (EP) and an S Pass. Please note that this does not constitute an approval by Ministry of Manpower.
You may wish to submit an application which will be assessed according to our prevailing criteria.

ということで、十分望みがあるとのことだった。

なぜシンガポールか?

私はシンガポール経済の未来は明るいと、個人的には考えている。それにはいくつか理由がある。

  1. 英語を公用語にしている。国際的なビジネスがますます英語中心で行われていくトレンドにうまく乗っている。
  2. 知識労働者を重視している。知識集約的な金融や IT への傾斜を深めている。これは、いまだに20世紀的な製造業に固執している某国とは対照的であり、現在の経済発展の趨勢に合致している。
  3. 地政学的位置。世界経済の重心がますますアジアに移りつつある中で、21世紀の超大国となりうる、中国・インド・インドネシアに挟まれた位置にある。これらのアジア経済圏をつなぐハブとしての役割を果たしうる。特に中国系の住民が多く、標準中国語を話せる住民も多い。英語と中国語のバイリンガルというのは、貴重な人材とはいえないだろうか。

これらに加えて私の個人的な理由は以下の通り。

  1. 多文化。シンガポールは中国系・マレー系・インド系の住民から成っている。それぞれの文化の香りを楽しむことができる。飯もうまい。
  2. 多言語。自然言語オタクの私にはたまらない。特にマレー語(≒インドネシア語)を勉強してみたい。インドネシア語は、文法・発音とも非常に簡単で、日本人には習得しやすい言語と言われている。
  3. 熱帯。私がカナダを逃げ出したのは、多分に寒冷な気候のせいだ。私は寒いのが苦手なので、暑いほうがいい。

懸念点はないのかといえば、もちろんある。最大のネックは政治だ。

  1. 一応、選挙で議員が選ばれる国会があり、民主主義の体制を取っているが、言論の自由は制限されており、野党は非常に活動しづらい状況があるらしい。そのため、1965年の建国以来、人民行動党(PAP)の事実上一党独裁が続いている。
  2. 別名 Fine City(罰金都市)とも呼ばれるくらいに、公衆道徳の違反に対して罰金が掲げられている。私が、1991年に訪れたときも、「ポイ捨て禁止。罰金$1000」(金額は適当)みたいなポスターを見かけた。

政治に首を突っ込まず、おとなしく働いている分には、関係はなさそうだが。いかにも欧米が嫌いそうな政策だが、あの複雑な地政学的な事情を考えると、複雑な心境である。欧米人がシンガポール政府の要人であったら、やはり同じようなことをせざるをえなかったかもしれない。この点は、さらに周辺地域が政治的に成熟していくなかで、少しずつ改善されていくことを望む。

まとめ

もちろんシリコンバレーには行きたいのだが、ビザがかなり絶望的な状況。バックアッププランとして、シンガポール行きも考えてみた。日本人はとかく、外国=アメリカみたいな認識を持っている人が多いような印象があるが、日本のすぐまわりにもいろいろ面白い国があることを知ってもらえたら幸いである。