一人当たりGDPランキングと英語

今日、シンガポールの一人当たり GDP が日本を抜いたというニュースがあった。かつてランキング上位だった日本はいまや見る影もなく22位。

下の表は Wikipedia から引っ張ってきた。IMF が発表した 2007年の一人当たり GDP のランキングである。
これを見ていてあることに気がついた。

1 ルクセンブルク 104,673.28
2 ノルウェー 83,922.50
3 カタール 72,849.07
4 アイスランド 63,830.08
5 アイルランド 59,924.42
6 スイス 58,083.57
7 デンマーク 57,260.95
8 スウェーデン 49,654.87
9 フィンランド 46,601.87
10 オランダ 46,260.69
11 アメリカ合衆国 45,845.48
12 イギリス 45,574.74
13 オーストリア 45,181.12
14 カナダ 43,484.94
15 オーストラリア 43,312.32
16 アラブ首長国連邦 42,934.13
17 ベルギー 42,556.92
18 フランス 41,511.15
19 ドイツ 40,415.41
20 イタリア 35,872.42
21 シンガポール 35,162.93
22 日本 34,312

ランキングを注意してみると、上位国のほとんどが英語圏か英語を堪能に話す人たちが多い国々なのである。

アイルランド(5位)・アメリカ合衆国(11位)・イギリス(12位)・カナダ(14位)・オーストラリア(15位)は英語圏
シンガポール(21位)も準英語圏と考えてよい。

ルクセンブルグ(1位)は公用語がフランス語・ドイツ語・ルクセンブルク語。しかし、ガイドブックを見ると英語もよく通じるとある。ドイツ語系の言語をしゃべる人たちは、たいてい英語が上手である。

ノルウェー(2位)・デンマーク(7位)・スウェーデン(8位)・オランダ(10位)の人たちが話す英語はきれいすぎてネイティブスピーカーかと思うことさえある。

アイスランド人(4位)も小学校から英語をやっていて英語がうまい。

スイス(6位)に関しては、「スイス国民の多くは、母語の他に、英語を話すことができるので、スイス国内では英語が共通語として使える。」(Wikipedia)

オーストリア(15位)・ドイツ(19位)もドイツ語圏なので、北欧の国々ほどではないが、英語はよく通じる。すくなくとも大学卒の人たちはきれいな英語を話すことが多い。

カタール(3位)は中東のアラビア語の国ではあるが、イギリスの旧植民地であった関係でエリートたちは英語を話す。

アラブ首長国連邦(16位)は「言語はアラビア語公用語である。ただし、外国人が多いため、英語や南アジア系の言葉なども広く使われている」(Wikipedia)そうだ。確かに、あそこは出稼ぎの外国人が多いと聞いたことがある。

そうすると残りは、ベルギー(17位)・フランス(18位)・イタリア(20位)・日本(22位)の順位下位グループである。同じヨーロッパでもフランス語・イタリア語・スペイン語のようなロマンス諸語圏の人たちは、ドイツ語や北欧諸語のゲルマン語族の人たちに比べると英語は苦手な傾向がある。まあ、それでも日本人よりはずっとましだが。

というわけで、驚くことにランキング上位国のほとんどが英語の堪能な人たちの国々なのである。

いったいこれはどういうわけだ?グローバリズムとは英語圏の拡大であり、英語圏に属する人々にもっとも大きな恩恵を与えるものなのだろうか?確かに世界の国際機関が発行する公文書や統計書の類などほとんど英語で出版される。金融業も英語ができないと話にならない。世界の富の流通のかなめを英語を話す人たちががっちり握っているということなのかもしれない。

これじゃ、確かに世界中の人たちが英語を学びたがるわけだ。英語力は富への近道なのである。

今日の日本のエリートたちの国際的な視野の狭さも日本語しか理解できないという制約から来ていることが多いように個人的には感じるときがある。

だからといって、皆さん、英語を勉強しましょう!という風に話を終わらせるつもりはない。私個人は、日本人の中では英語ができるほうだと思うが、それでもネイティブスピーカーの英語には程遠いし、いまだに英語にコンプレックスはいろいろある。だから、こういう冷徹な現実を見せつけられるととても複雑な気持ちになる。

日本語と英語は非常に相性が悪く、日本語のネイティブスピーカーが大人になってから英語を習得するのは至難の業だ。じゃあ、日本人はどうしたらいいのだろうか?

陳腐なようだが、やはり子供たちにはしっかりと英語力をつけさせたほうがいいのではないだろうか?もちろん、日本語力をおろそかにしないという前提で、ある。公教育に期待できないのなら、英語のネイティブスピーカーがいる英語塾に通わせたほうがいいのかもしれない。できれば幼稚園とかそれくらい小さい時期からやれば子供も抵抗なく英語を吸収できるのかもしれない。

子供たちに受験戦争なんて日本でしか通用しないことをさせている暇があったら、英語力をつけさせて世界中でメシが食える人間に育てたほうがいいと思うのは私だけだろうか?

たとえアメリカが衰退したとしても、おそらく21世紀を通じて英語圏は拡大をつづけるような気がする。こうやって本当に英語は世界共通語になっていくのだろうか?