サイゴン2日目

昨日は一日中ホテルを探して見つけることができなかったので、今度は作戦を変更する。

まずベトナム語の学校を探す。

午前中、訪れたのはホーチミン市人文社会科学大学。ここは、私の東京でのベトナム語の先生の出身大学である。ベトナム南部では、最高峰の文系の大学らしい。日本で言えば、京都大学の文系みたいな感じだろうか。巨大な大学なので、外国人向けのベトナム語コースの事務室を見つけるの苦労するかと思いきや、入り口付近にあって、すぐに見つかった。プライベートレッスンが50分で $10 だそうである。一日最低2時限はクラスを取らないといけないので、一日20ドル。週5日通って、100ドル。4週間で400ドルである。おそらく10年前ならこの半額であっただろう。何かにつけ、ベトナムでは物価上昇が著しい。

もうひとつ小さな語学学校が、人文科学大学のそばにあったはずなのだが、見つけられない。天頂から照りつける刺すような日差しにあえいでいると、そこに砂漠の中のオアシスのように、Highlands Coffee が出現したので、逃げ込むように入る。Highlands Coffee は、滅茶苦茶高いわけではないのに、雰囲気は実に上質で最高である。日本のタリーズをやや高級にしたような感じのコーヒーショップといえばいいだろうか。電源が使い放題で、Wifi が無料という、私のような人間には涙なしでは語れないようなすばらしい場所である。(本当に東京にもこんな場所があったらいいのに)

そこで、隣に座った韓国人男性と会話を交わした。彼は歳は私と同じ位のように見える。流暢な英語を話し、頭の切れそう人物である。実際、韓国屈指の大銀行である国民銀行の管理職で、現在は人文社会科学大学でベトナム語を勉強しているという。一日4時間プライベートレッスンを取っているというから、相当ハードな生活なはずだ。教師の質はすこぶる良いようだ。それにしてもベトナム、実に韓国人が多い。この銀行マンいわく、人文社会科学大学の留学生は、大多数韓国人で占められているそうだ。日本人はいることはいるが、それほど多くはないそうだ。韓国は、ビジネス的に相当、ベトナムに入れ込んでいるらしい。

もういちど語学学校の位置を確認すると、やはりこの Highlands Coffee の隣にあるようだ。いかめしい建物の入り口にいた門番に住所を尋ねると、5階を指差した。この Indochine Vietnamese Language of Ho Chi Minh City(LASSHO) は、学校というより、むしろ学習塾のような雰囲気の部屋にある。小さく仕切られた教室がいくつもあり、プライベートレッスンが多いようである。プライベートレッスンは9ドル/時限。受け取ったパンフレットにはびっしり英文でミッションステートメントが書かれている。まじめそうな学校だ。

午後は、市中心部のやや西にあるホーチミン市師範大学を訪れた。大学の周囲には、バイク屋や学生向けの大衆食堂が密集している。中に入ると、狭い敷地に学生があふれていて、熱気がある。ホールの床に学生たちが座り込んで、勉強したり、おしゃべりをしたり、思い思いの時間をすごしている。デコレーションケーキの周りに学生たちが集まり、誰かの誕生日をお祝いしていた。学生に道を尋ねて、新しいビルの10階にある外国人向けベトナム語講座の事務室を訪ねる。フレンドリーな若い女性の職員が親切に質問に答えてくれた。驚いたのはプライベートレッスンが5ドル/時限であったこと。うむ。相場からして安すぎないか。人文社会科学大学の半分である。むしろ教師の質が不安になるような安さである。ただ全体の雰囲気はのんびりした感じで、古きよきベトナムを体験できそうな予感はある。

やはり大学でベトナム語勉強しようかと思った。人文社会科学大学か、それとも師範大学か。人文社会科学大学は、おしゃれなビジネスエリアに立地している。東京で言うと、青山三丁目あたりの雰囲気に似ている。それにくらべて師範大学の周辺は、より庶民的である。やはり東京で例えれば・・・高田馬場あたりか。日本人なら、人文社会科学大学のほうが、建物も周辺環境も綺麗な分、なじみやすいかもしれない。ただ、師範大学は学費も安いし、庶民の暮らしぶりを体験しやすいかもしれない。うむ、どちらにすべきか。悩ましい。明日、決定し、来週から学校に通うつもりだ。