香港市内→深セン空港

香港のお隣、中国の深セン空港から、タイ・バンコクへ向かう。

香港の地下鉄九龍駅にあるバスターミナルから、深セン空港行きのバスに乗る。HK$100(1300円)。バスターミナルもバスも至ってまとも。もっと怪しげなやつを想像していたのだが、たぶんそれはベトナムに頭が毒されすぎたんだろう。午後6時45分に発車したバスは、海沿いの美しい風景を左手に見ながら、片道3車線の高速道路をひた走る。最後に長さが10キロくらいありそうな、長い橋を渡って、中国との境界線に到達。

香港は中国から見て外国じゃないのだが、境界線と言っても事実上国境みたいなものである。一国二制度恐るべし。バスを降りて入管手続き。これは羅湖と同じく、香港側で出境し、中国側で入境という形で2回イミグレを通過する。私を担当した中国側の入国審査官が、若くてかわいい女の子だったので、つい見つめてしまった。泣く子も黙る恐怖の中国政府のお役人であるにも関わらず、である。年々中国のイミグレーションの職員の態度は柔らかくなっているような気がする。

入管事務所を出るとそこには数十台のバスが止まっており、頭がクラクラするが、胸に張った「深セン空港」のシールのおかげで、何とか深セン空港行きのバスにたどり着けた。バスの車窓の外には、ビルの壁面に刻みこまれた数々の明朝体の中国大陸フォントが見える。中国に行ったことがある人ならわかってくれるだろう。あの草書体のような流れるような字体。たいていは中国人の好きな深紅で染め上げられている。やれやれ、中国である。

深セン空港ターミナルのセブンイレブンでアンパンを香港ドルで買おうとすると、売店の女の子が気の毒そうな顔をする。大陸の人たちはもう誰も香港ドルを欲しがらないようだ。誰もが競って香港ドルを欲しがった20年前とは隔世の感がある。人民元の力も大きくなったものだ。両替所で持っている香港ドルを全てタイ・バーツに変えてしまった。両替所の可愛い女性職員が私の顔を見てニヤニヤしている。気があるのかしらと私も内心ニヤニヤしていたのだが、その後トイレの鏡で自分の顔を見てその理由がわかった。私が食べたアンパンのアンコが私の顔についていたのだ。FML

深センの国際ターミナルは、いかにもやっつけで作ったようなやる気の感じられない小さな建物である。後で本格的な国際ターミナルを作ることがわかっていて、それまでのつなぎに過ぎない感じがありありである。国際線はまだ午後9時だというのに、私が乗るエアアジアバンコク行き1本しかないようだ。

チェックインを済ませた。驚いたことに手渡されたのは、手書きの搭乗券。すごすぎる。しかも日付が最初、7月18日と書き込まれてあったものの上に、上書きして19日と書き込まれているし。出国手続きして、ゲートに到着すると、出発が1時間30分遅れる旨の表示。チェンマイ行きの乗り継ぎ便まで乗り換え時間が長くて助かった。

この空港、素敵なのは、なぜか無料で無線LANが使えることだ。インターネットが使えるのはうれしい。その接続を使ってこの文章をとりあえずアップする。

中国はむかつくのだが、しかし、予想外のことが多くていつも面白い。中国に来るたびにいつもそういう相反する感情を抱かされる。

P.S.
twitter がブロックされてる。orz
BBC News は英語版は読める。中国語版は相変わらず読めない。
facebookGoogle News も youtube もブロックされているようだ。やれやれ。
中国に住むアメリカ人とか相当ストレス溜まりそうだな。
(しかし、空港で無料のインターネットを提供してくれるのも中国らしいところだ。誓ってもいいが、中国政府は日本政府より100倍インターネットのことをよく知っている。よく知らなければ規制なんかできないからだ。インターネットの構造を深く理解したうえで、真剣に対峙する中国政府。最高学府に無線LAN整備もせず、地デジという袋小路にはまった技術にこだわって、インターネットから逃げ回る日本政府。鮮やかなコントラストだが、これが10年後どういう帰結をもたらすだろうか)