日本の社長のみなさんへ

毎日お疲れ様です。昨今の不況の御社の業績への影響はいかがでしょうか。社長の創意工夫できっと苦境を乗り切っておられることと存じます。

さて今日は一つ提案があって参りました。それは、従業員のみなさんの家族や友人を思う気持ちを大切にしてあげませんか、というご提案です。従業員の皆さんは、残業の毎日ですね。結婚記念日や子供の誕生日、昔の友人との再会や、恋人との大切なデート、そういうときくらい、早く仕事から解放させてあげませんか。

「仕事を差し置いて何を!」と目くじらを立てる経営者の方もおられるかもしれません。しかし、私たちはそもそも何のために仕事をしているのでしょうか。カネのためですか?そしてそのカネで買えるモノのためですか?しかし、カネやモノがいくらあふれても、それを一緒に喜び楽しんでくれる人がいなければどうでしょうか。楽しみは半減してしまうでしょう。では一緒に喜んでくれる人は誰ですか。それは家族であり、友人ではありませんか。

私たちは最終的には、自分の大切な人たちのために働いているのではないですか。人との関係を築き維持していくには時間がかかります。モノを買い与えれば済むものではありません。一緒にすごす時間はカネでは計れない価値があるのです。

「それでは経営が立ち行かない」そうおっしゃるかもしれません。実をいうと残業に次ぐ残業で会社を何とか維持しているような国はあまり多くないのです。欧米諸国は一般的に長時間残業はあまりありませんし、中国やベトナムのようなアジア諸国も同様です。これらの国々では残業なしで、会社は事業を成り立たせています。どうして御社では可能ではないとお考えになるのか、社長のお考えをお聞かせ願いたいです。

もう一度業務フローを見直してみませんか?顧客に提供するサービスで品質過剰な部分はありませんか?お客さんは要求する以上の品質を受け取っても、社長がお考えになるほど、喜びはしませんよ。余計なものをつけるくらいなら、安くしてくれ、と言われるのがオチです。残業は異常事態だ、だから絶対に残業は許さない、という確固たる意志を持って、組織を再設計するのです。

従業員のみなさんがもはや恒常的な残業で苦しむことがなくなった世界を想像してください。従業員の方々が、朝、前日の残業の疲れを引きずったまま、出勤することはもうなくなります。(まあ遊びすぎて疲れている人はいるかもしれませんが)よりよく目の前の仕事に集中できますから、能率アップするはずです。大切な人たちと過ごす時間も増えますから、家族や友人との絆も深まるでしょう。あるいは仕事帰りに英語やビジネスの学校に通うことも楽になるでしょう。従業員の方々のスキルアップは業績アップに直結します。従業員のみなさんは社長に感謝の気持ちを抱き、定着率も高まるでしょう。

どうですか。あとは社長の決断ひとつです。いまのような残業地獄を続けて従業員のみなさんを疲弊させつづけるのか、それとも残業のない幸福な世界をもたらすのか。御社の運命は社長の意志次第なのです。