マンキュー経済学最高!

ネットのあらゆる場所で絶賛されているマンキューの経済学入門書。どんなもんじゃい、と冒頭部分を読んでみたが、唸らされるほどすばらしかった。(私は英語版 "Mankiw 2003, Principles of Economics" を読んだ)

マンキュー入門経済学

マンキュー入門経済学

冒頭の「経済学の10大原理」が、実に簡潔によくまとまっている。

  • 人々はどのように意思決定するか
    1. 人々はトレードオフに直面している
    2. あるものの費用はそれを得るために放棄したものの価値である
    3. 合理的な人々は限界原理に基づいて考える
    4. 人々はさまざまなインセンティブに反応する
  • 人々はどのように影響しあうのか
    1. 交易はすべての人々をより豊かにする
    2. 通常、市場は経済活動を組織する良策である
    3. 政府は市場のもたらす成果を改善できることもある
  • 経済は全体としてどのように動いているか
    1. 一国の生活水準は、財・サービスの生産能力に依存している
    2. 政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する
    3. 社会は、インフレと失業率の短期的なトレードオフに直面している


「一国の生活水準は、財・サービスの生産能力に依存している」に関して、特にこのくだり。

The fundamental relationship between productivity and living standards is simple, but its implications are far-reaching. If productivity is the primary determinant of living standards, other explanations must be of secondary importance. For example, it might be tempting to credit labor unions or minimum-wage laws for the rise in living standards of American workers over the past century. Yet the real hero of American workers is thier rising productivity. As another example, some commentators have claimed that increased competition from Japan and other countries explains the slow growth in U.S. incomes over the past 30 years. Yet the real villain is not competition from abroad but flagging productivity growth in the United States.


生産性と生活水準の間の基本的な関係はとても単純ですが、それが意味するところは遠大です。もし生産性が、生活水準を決めるもっとも大きな要因であるとしたら、他の説明は、2次的な重要性しかありません。例えば、過去1世紀の米国の労働者の生活水準の向上は、労働組合最低賃金法の功績である、といいたくなるかもしれません。しかし米国の労働者にとって、本当の恩人は、生産性の向上なのです。また別の例として、過去30年の米国の所得が伸び悩んでいるのは、日本やその他の国々との競争が激化したせいだと述べる評論家たちがいます。しかし本当の悪役は、海外との競争ではなく、米国における生産性向上の停滞にあるのです。(酒井訳)

あーすかっとするねー。本当にそのとおりだよ。マンキューの「経済学の10大原理」くらいは、高校で生徒全員に教えるべきだよ。そうすれば、経済について訳の分からないことを言う評論家が減るに違いない。少なくとも経済政策に興味を持っているひとにとっては必読書かもしれないね。