金価格の高騰と基軸通貨の交代

金価格が高騰している。

今朝、ベトナムの主要紙トゥイ・チェ(Tuoi Tre) は、1面に貴金属店に押しかける人々の写真とともに「金に何が起こっているのか」という見出しを掲げている。ベトナムでは、ごく最近まで金で交易が行われていて、いまだに金価格を単位に不動産価格が掲示されていたりする。人々の金価格への関心は深い。

田中貴金属工業株式会社│月次金価格推移

よくみると、円建て以上にドル建てで、金価格はより鋭く上昇していることがわかる。第二次世界大戦前は、国際金融システムの中核にあったのは金だった。いまは米ドル。とすれば、基軸通貨としての米ドルが動揺しているのか。

米ドルの信認が揺らぐ中で、これからアジアで米ドルの地位を引き継ぎそうなのが中国の人民元

中国経済のV字回復で囁かれる 「人民元基軸通貨化」の真相 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

中国国内の金融改革が遅れていて、金利が自由化できないため、為替の自由化はまだ先だろうと、著者は予測する。しかし、人民元への潜在的な需要は根強い。

わずか3年で、人民元は米ドルに対して18%も切りあがっている。最近は 1米ドル = 6.8 人民元程度で、安定しているようだが、為替レート維持のため、中国の中央銀行は相当のドル買いをしているはずだ。そのため、中国の外貨準備はうなぎのぼり。ロイターの報道によると、中国の2009年9月末の外貨準備高は 2.27 兆ドルに達している。(日本の外貨準備高は1兆ドル程度である)

大前研一は、「世界にとって大きなリスク、それはドルと円」と論じている。対外債務がつみ上がっている米ドルは危ない。けれども、米ドルは事実上「世界通貨」であるため、全世界の人たちが、米ドルの暴落を望んでいない。しかし、日本円は、基軸通貨ではないので、国債の償還に危機が訪れた瞬間に、暴落する危険が高い。

こうやって、世界の主要通貨は、「米ドル・円」から「人民元」へ緩やかに移行して行きそうな気配である。(ユーロの将来性については、語れるほどの知識がない)