日本を愛してますよ、もちろん・・・たぶん

いろいろ誤解している人もいそうだから、弁解しておく。私は日本で生まれ育ち、日本で教育を受け、日本で社会人生活を送った。生粋の日本人である。家族はもちろんのこと、友人たちだってたくさんいる。日本を当然ながら愛していますよ。日本には、これからも自由で豊かで安全な国でありつづけてほしい。心の底からそう願っています。

ただ、確かに、日本社会といろいろ折り合いが悪かったのは認めないこともない。学校生活は最悪。まったく適応できず、楽しかったのはせいぜい大学の後半の2年間、専門の勉強に打ち込んでいたときぐらいだ。それでも嫌いだったのは日本じゃなくて、学校だったからね。

「いやあ、これはさすがにやばいでしょ」と思うようになったのは、社会人になってからだね。まずは就職活動(当時はシューカツという言葉はなかった)のあほらしい洗礼。私は、バブルの末期に就職したから、今と正反対で売り手市場だったんだけど、それはそれで、日本企業は狂っていた(私はそのとき思った)。学生を囲い込みたいがために、内定を出した学生たちをホテルに監禁したり、旅行に連れ出したりして、他の企業と連絡を取れないようにした企業も多かった。本当に何を考えているのか。仕事が大切とはいえ、人間として踏み越えてはいけない一線があるんじゃないのか。

というわけで、私が社会人になって、日本経済の実態を見ると、私の中の日本の株は暴落したのだった。そこらへんから、海外脱出願望が始まった。

私は性格的に、ノマド遊牧民)タイプなので、いろんな国に住むことを心から楽しんでいる。そして、その国に慣れてしまうと、別に日本のものに触れなくてもたいして苦にならない。風呂も湯船がなくてもOKだし、ウォシュレットも要らないし、日本食だって食わなくてもかまわない。(もう1ヶ月くらい日本食たべてないなー。でもベトナム料理がうまいからぜんぜん苦にならない)

そんな人間なので、「いやー日本のメシは最高にうまいよ〜。外国には住めない」とか言っている人から見れば、「こいつおかしいんじゃない?」と思われてしまうかもしれないね。そういうバイアスがあるということは理解して、私の文章を読んでいただけるとありがたいです。

日本にはいろいろいいものがあるよね。日本の人は気づかないかもしれないけど、実は日本の山は世界で指折りの美しさだと思う。地質学的に新しいために非常に急峻でありながら、日本の温帯の気候に適応して、繊細な自然をたたえている。私は、学生時代に日本の山によく登ったのだが、その後、どの国に行っても、日本の山ほどしっとりした自然を見たことがない。カナダのロッキー山脈は雄大だけど大味だし。スイスとかどうなのかな。日本もいい線行っていると思うよ。

幕末の日本人もかっこいい。私は、司馬遼太郎の大ファンなので、彼の小説はむさぼり読んだ。坂本竜馬と長岡藩士河井継之助にはしびれる。江戸時代の廻船商人である高田屋嘉兵衛の創意工夫には、脱帽する。日本には、たくさん偉大な人たちがいたよね。

私は、いま日本が国際社会の中で尊敬されうる開放的な国になってほしいと願っている。そのために、みんな自分のできることを少しずつやっていこうじゃないか。私もそのつもりで微力ながら日々努力している。(といっても本当に微力なんだけどね(笑))