嫌なら逃げてもいいんじゃないかな

「前向きな気持ちで始めるならいいけど、何かが嫌で、それから逃げるためならよくない」
「海外生活に挑戦するのもいいけど、日本が嫌だから、という理由じゃきっとうまくいかない」
「この会社を辞めるのもいいけど、この会社が嫌いだから、という理由ではダメ。本当にやりたいことを見つけてから辞めなさい」

というようなことを言う人たちがいる。とりあえず正論な気がするし、小学校の道徳の授業でこう言っておけば、先生にはいい顔できるかもしれない。

でも、なんだかしっくりこない。

嫌なら逃げてもいいんじゃないかな。だって嫌なんだし。嫌なことをしていられるほど、人生は長くないんじゃないかな。

私は、10回以上転職しているけど、かなり後ろ向きの転職も多かった。いろんな理由で会社が嫌になってしまう。たとえば社内の人間関係が最悪であるとか。1ヶ月くらいは耐えてみるけど、もうこの先どうにもならないだろうな、と思うと、さっさと辞めてしまう。もう、どんどん辞めてしまう。

その結果どうなったか。時にカネに苦労することはあったけれども、基本的にストレスがなかったから、とても楽しい人生だった。いまもたいしてカネはないけど、毎日が楽しい。大学時代の仲間の中でもダントツに幸せなんじゃないかと思う。久しぶりに、顔をあわせると、自分が一番若く感じる。みんな気苦労が多そうである。

日本社会は「風紀委員」みたいな人たちが多すぎるのかもしれない。自殺率の高さは、発散しようのないストレスの強さを暗示している。

もちろん、我慢しなければならないことだってある。私もいまは退屈な USCPA の勉強に耐えている。その先に未来があると思うからだ。しかし、耐えられないほどつらいことがあるというのは、何かが根本的に間違っている可能性が高い。そういうときは、とりあえずやめてしまったほうがいいかもしれない。いまいる場所から逃げ出したほうがいいかもしれない。

いぜんオーストラリアを旅行したことがある。砂漠に道がどこまでもまっすぐ続いている。他の車など一台も走っていない。大きな真っ青な空。レンタカーを借れば、一日1000キロでも余裕で走れる。

本当に人生が嫌になってしまったとき。すべてを投げ捨てて、オーストラリアにでもふらりと旅行に出かけてみたらどうだろうか。義務だとか世間の目だとかは関係ない。まずは自分の身を守ることだ。それが、結局はすべての人たちの幸せにつながるのだから。