不幸な優等生より、幸福な不良になろう

今回は Chikirin 風におちゃらけ社会派で行こうと思う。(いつも真面目にしていると疲れるので)

私が敬愛するブログの一つに「ニートの海外就職日記」がある。そのちょっと前の人気エントリ。

「金払ってる方がエラい」という傲慢な価値観がお客様wのモンスター化を導く。 ニートの海外就職日記

これは海外に住んでみるとすぐに気がつくこと。私はいままで、カナダ・韓国・中国・ベトナムと4つの外国に住んだことがあるが、接客業の人たちの愛想は日本に比べて極端に悪い。その愛想の悪さのレベルは、驚くほど似ている。おそらく、世界で日本だけが突出して接客が良く、残りの国々はどんぐりの背比べじゃないだろうか。

私は、日本の接客のバカ丁寧さにときどき気持ちが悪くなるときがある。前回日本に帰ったときも、一本のミネラルウォーターをコンビニで買ったのだが、その気の毒なレジ係の中年女性はカン高い声で「いらっしゃいませ」「120円になります」「1000円お預かりします」「880円のお返しになります」「袋はご利用になりますか」「あ、ストローはどうされますか」「大変お待たせしました」「ありがとうざいました」等々20個以上のフレーズを口にしていた。その間、満面の笑みのまま身体を左右にくねらせて全身で謙譲の意を表している。一人の客にこんなに体力を使ったら、さぞかし疲れるだろうに、と同情を禁じえなかった。

これがベトナムだったら、どうかといえば、

私「いくら?」
レジ係「5,000ドン」

あとは、レジ係がお釣りと商品を無口で投げ返してくるだけである。にこりともしない。ベトナムだけじゃなくて、どこの国に行っても似たり寄ったりである。愛想が悪いともいえるが、ある意味実に効率的な接客とも言える。店員は必要最小限の言動で済むのであるから。

日本は、海外との取引において、大きな経常黒字を毎年計上している。経常黒字というのは、わかりやすく言えば、「たくさん生産したのに、ちょっとしか消費していない」ということ。消費をしないと人生楽しくないのだが、働いて(=生産して)ばかりいるという状態だ。その結果、国民はサービス残業の嵐でいつも疲労困憊。一方で発展途上国の多くは、経常赤字を記録している。ベトナムもそう。赤字というと聞こえは悪いのだが、自分たちの生産力以上の消費をしてるんだから、ある意味おいしい。

日本という国は、学校のクラスに必ず一人はいる、生真面目な秀才君みたいだ。みんながグータラ遊んでいるときに、一人で寝る間も惜しんでガリガリ勉強。おかげでクラスでの成績はトップクラスだけど、どこか面白みがない。友達もいない。でも最近はちょっと疲れがたまってきて、勉強しても勉強しても成績が上がらない・・・最近まで不良だと思われていた中国君に抜かれて3位に落ちちゃった、みたいな。

ベトナムみたいな債務国では、国の偉い人は外貨の調達に常に苦労しなければならないのだけど、生産以上に消費しているので、国民は案外ハッピー。日本もそろそろ、苦しいだけの優等生路線をやめて、ちょっと不良になってみるのもいいかもしれない。

トヨタの豊田社長も、どっかの省の事務次官みたいな面白みのない記者会見はやめて、「あ、実はトヨタ車の品質、結構しょぼいんです。知らなかった? ははは」とか、ぶっちゃけてしまったらどうか。「そのかわり徹底的に安くしまっせ」とか言って。あとはもう適当に仕事して、落ちるところまで落ちると。当然、GDP は伸びないし、円の価値も暴落するかもしれないけど、リラックスした労働スタイルを手に入れた新日本人たちは、いまより幸せを感じながら生きていけるかもしれない。

だって、一人当たりGDPがはるかに小さいベトナム人のほうが日本人より幸せそうに見えるんだもん。