日本の出版社は電子書籍に手を出すな

愚かしいことを。

「日本電子書籍出版社協会」発足、出版31社が参加し規格など検討 -INTERNET Watch

いままで電子書籍の出版に対して消極的であった日本の出版社たちは、Kindle / iPad という黒船の到来に前に、ついに重い腰を上げた。ようやく電子書籍出版を開始するというのである。

だが、これは彼らに何の益ももたらさないだろう。なぜなら電子書籍というのは、いずれ紙の書籍だけでなく、書籍という形式そのものを破壊してしまうからだ。電子書籍は、しおらしく「書籍」と銘打っているが、これは、ネット陣営の罠である。トロイの木馬だ。電子書籍を推進する陣営は、書籍という2文字にだまされた既存の出版社や著者たちを呑み込んで、バラバラに砕き、完全に消化した後に、屑として排出するだろう。そこは、もはや「書籍」というものがなくなってしまった世界だ。

デジタル情報は、限りなく文節化していく運命にある。「尺」が短くなっていくのだ。私たちは、ますます2時間の映画やテレビ番組の代わりに、名場面だけ切り貼りした 5分間 Youtube のの動画を見るようになりつつある。もともと書籍の数ページ分しかないブログ記事さえ敬遠され、私たちの文字によるコミュニケーションの中心は Twitterはてなブックーマークのコメントのような極めて短いメッセージのやり取りになりつつある。

21世紀、全てのサービスは「非中心化」していくのだ。

書籍が電子化されると、まもなくして1冊の本は分解されて、章単位で販売されるようになるだろう。最後はページ単位で切り売りされるようになるに違いない。電子書籍の各ページは、他の電子書籍のページと相互にリンクし合い、ますますもともとあった何かに近づいていく・・・そうウェブだ。電子書籍は、ウェブそのものになっていくのだ。

電子書籍は、ウェブがそうであるように、価格が限りなくゼロに近づいていく。電子書籍は、著者や編集者の取り分が多いなどという甘言に惑わされてはならない。価格がゼロに無限に近づいていけば、著者や編集者の収入もほぼゼロになっていく。そして業として執筆業を行う者たちは地上から消滅するのだ。

長い歴史持つ書籍という知的表現形式や職業的執筆業者を守るために、書籍の電子化は絶対に阻止しなければならない。アメリカはすでに AmazonApple が後戻りできないところまで進んでしまった。英語圏の書籍はやがて消滅する運命にある。幸いわが国の出版社たちは、軽薄な変化を嫌い伝統を重んじる気概がある。「日本電子書籍出版社協会」は今すぐ解散し、日本に Kindle / iPad の禍が及ぶ前に、日本語電子書籍の流通の全面禁止を政府に働きかけていくべきである。

紙を材質とする伝統的書籍を守ることは、書籍とそれを取り巻く人たちの文化を守ることでもあるのだ。

P.S.

ところで今日は何かの記念日だったような気がするのだけど・・・思い出せない。