田んぼではコメより電気を作ったほうが儲かりそうな件

田んぼにソーラーパネルを敷き詰めて太陽光発電したらどうなるか試算してみた。

想定は次の通り。

  1. 10アール(1000平方メートル)の土地にその70%を覆うように太陽光パネルを配置
  2. 変換効率は10%。
  3. 1日3時間、365日間発電する。
  4. 作った電気は向こう20年間、40円/KWhで売れる。
  5. 発電施設単価は60万円/KW(この単価に維持費用の現在価値も含む)。
  6. 施設の購入はすべて借入によって行い、金利3%、20年元利均等返済する。
  7. 粗利益 = 売電売上 - 借入金元利返済額。
  8. 地代は考えない。

計算結果は、242,940円の利益となった。*1

太陽光発電には「燃料費」が要らない。コストの大半は発電設備である。そのため、KW当たりの発電設備単価と売電単価の想定が極めて重要である。

条件を変えた試算結果は以下の通り。

(カッコの中の数字は赤字を示す。詳しい計算過程はウェブ上に上げておいたので参照のこと)

売電価格(円/KWh) 発電施設単価(円/KW) 利益(円/年)
40 600,000 242,940
20 600,000 (1,290,060)
10 600,000 (2,056,560)
40 300,000 1,654,470
20 300,000 121,470
10 300,000 (645,030)
40 150,000 2,360,235
20 150,000 827,235
10 150,000 60,735

現在の施設単価は約60万円/KWと考えてよい。このレベルだと売電価格が10円/KWや20円/KWだと採算が取れない。半額の30万円/KW なら20円/KWでも採算が取れる。これは家庭用電力価格とほぼ同じレベル。施設単価が15万円/KWなら10円/KWでも採算が取れる。これはほぼ火力発電と同等のコスト水準だ。

1995年に170万円/KWだった設備単価が2005年には 66.1万円/KWと約 40% になっている。これは年率9%で価格が下落することを意味する。仮にいまが60万円/KWで年率9%づつ単価が下落し続けるとすると、2019年には上の30万円/KW, 2027年には15万円/KW に到達していても不思議ではない。

稲作の収益率はあまりよくない。同じ10アールでわずか 5.3万円の利益しか出ないという。多くの場合で太陽光発電のほうが利益が多いではないか。しかも労働時間はほぼゼロに近い。

日本の農家は平均1ヘクタール(100アール)程度の農地があるという。上の売電単価40円/KW, 施設単価 60万円/KW のシナリオで、1ヘクタール分、太陽光発電に使えば、実に2400240万円もの儲けになる!(これはさすがに私も話がうますぎる気がするのだが…たしかに話がうますぎた。1000平方メートル=10アールですね。ご指摘ありがとうございます)

日本の総電力需要は860TWh。1平方キロに変換効率10%の太陽電池を並べると、0.1GWで1年間に約1000時間発電できるので、0.1TWhの電力量を作る。従って需要をすべて太陽光でまかなうとすると、860/0.1=8600平方キロが必要。

ところが日本には耕作放棄地が3900平方キロも存在する。ここに太陽電池を並べるだけで日本の電力の39%をまかなえてしまう計算だ。

減反政策を見ても分かるように日本のコメは余っている状態だ。一部の田んぼを太陽光発電所に変えるだけで、農家の所得が大幅に増える可能性を秘めているのだ。

*1:現行の固定買取制度は10年の買取しか保障していないことに注意。20年で壊れなければ、その後の売上はそのまま儲けになる。