日本について思うこと

私はいままで散々日本を批判してきたが日本は決して悪い国ではない。各種社会インフラの信頼性の高さ、凶悪犯罪率の低さは、大いに評価されていい。日本はよくも悪くも驚くほど安定した社会である。

日本は世界でもっとも高齢化が進んだ社会である。2010年の時点で人口の半数弱、約5000万人が55歳以上の中高年である。彼らは戦後高度経済成長の成功体験の思い出の中に生きている。彼らの世界観は20年前に凍りついたままで、最近のアジア諸国の目覚ましい発展や恐るべきIT技術の進歩について関心や知識が乏しい。だが彼らが日本の富と権力を事実上独占している。21世紀の文明の方向性を見据えた上で日本を正しい方向に導いてくれることを期待するのは難しい。

日本は老人の老人による老人のための国家である。すべての社会インフラが老人のために最適化されている。IT導入に対する及び腰も現状維持を至上とする価値観もすべての老人に対する配慮と考えれば合点がいく。

よくも悪くもこれが現実なのである。そして老人から見れば非常に住みやすいよい国なのである。

それはそれでよいのかもしれない。日本では本質的に新しいことは何も起こらなくなってしまった反面、急激な変化はないという安心感がある。世界にそんな国が一つくらいあってもいいのかもしれない。

若者にとってはとても退屈な国になっていくのはやむを得ない。若者たちには政治力はなく、老人たちを財政的に支える負担だけが残る。それが「老人に最適化された国家」という言葉が指し示すものだ。

若者たちには二つの選択肢がある。老人たちと仲良くして、彼らの権力と富のおこぼれに預かるか。それとも日本を出て行くか。

日本を出て行くと決めたとしても引け目を感じる必要はない。同時に日本をことさらに批判する必要もない。淡々と日本脱出を実行すればいい。

日本を出て行くと決めた人たちを「裏切り者」と罵る人がいるがそれは仲間意識の強すぎる日本人の悪い癖だ。いまの時代、いずれにしろ人々は日本の内外を常に出たり入ったりするのだ。自分は自分、ひとはひとで良いではないか。

日本よ、いままでありがとう。そして、さようなら。...少なくともしばらくの間。