ノマドと子ども
私はいまノマド的な生活をしている。一カ所に定住するのがなんとも難しいのである。では、妻がいて子どもがいて、という家庭的な生活が嫌いかといえば、決してそうではないのだ。私は子どもはけっこう好きだ。子どもからも好かれることが多い(ような気がする)。
ただ私はいまのノマド的な生き方が気に入っているし、向いているとも思う。ノマドの最大の問題点は子どもを持つことが極めて難しい点にある。たいていの女性は私のようにフラフラしている人間を結婚相手とみなすことはない。まあ当然だ。おそらく女性には子どもを産み育てるための巣を持ちたいという本能があるのではないか。それゆえ女性は安定を求めることが多いのだろう。
現代日本において子どもを持つことは、経済的には極めて大きなリスクと言わざるを得ない。現代日本社会(特に都会)は子育てには全く向いていない。子どもを持つやいなや、大変な肉体的・精神的・金銭的な苦労を背負いこむことになる。合理的に考えれば子どもは持つべきではあるまい。
ただ同時に子どもは次世代の社会を作る存在でもある。子どもなしに未来を語ることは出来ない。子どもを持つ人々はそれだけで社会貢献をしているのだ。
社会に重要な貢献をしている彼らがなぜかように大きな負担をしなければならないのか。そして利己的な理由で子どもを持とうとしない自分に良心の呵責を覚えるのである。
私はおそらくいまのライフスタイルを続けるかぎり父親にはなれないだろう。だが子どもが社会にいることは重要だと思うし、私は子どもが好きだ。そして可能なら子育てで苦労している人たちを少しでも支援したい。
「パートタイムの父親」になれる仕組みがあるといいのになあ、と夢想する。それともすでに存在するのだろうか。
ノマド論が世間で風当たりが強いのはひょっとして市民の責務たる子育てという視点が完全に欠落しているからかもしれない。だがノマドも誰かの子どもを育てる手助けができるのではないか。そうすることで次世代を作る手助けができるのではないか。
ノマドな男女のみなさん、どう思いますか?