ドイツ到着
ベルリン東部にあるシェーネフェルト空港は、想像よりずっと小さかった。私はここでドイツ最大手移動通信キャリア T-Mobile の SIM を買おうと思ったのだが、とてもそんな店がある雰囲気ではない。
私は今日、トルコ・イスタンブールから到着したのだが、同乗のトルコ人たちに対する入国審査官の高圧的な態度にはやや驚いた。「お前は何しに来た?」「カネはいくらもっているんだ?」等々、完全に不法就労を疑ってかかっている。私は旅行者として、入国審査官に好感を持ったためしがないが、それにしても先進国ドイツで入国審査官がこんな態度を取る理由をあれこれ考えさせられた。一つは、ドイツにおけるトルコ人不法就労問題が深刻なのかもしれない。もう一つは、このシェーネフェルト空港が旧東ドイツにあるため、職員たちも旧東ドイツ人であり、それが横柄な態度につながっているという可能性だ。
空港は本当に小さくて一歩外に出ると田舎だ。青々とした芝生が広がっている。10分ほど屋外の屋根付き通路をてくてく歩くと、鉄道駅に着く。鉄道とトラムを乗り継いでやはり旧東ドイツ側にあるホステルへ。
私はドイツに到着したものの、一貫して旧東ドイツ側にいる。そのせいか知らないが、想像よりドイツの街はきれいではなかった。そこら中にタバコの吸い殻が捨てられていて、ビルの壁には落書きがびっしり書き込まれている。だた、鉄道やトラム自体は近代的で快適だった。
ホステルは、中心部からやや離れた郊外にある。庭付きの古い1軒屋を改造したものらしい。30畳くらいの広い部屋を7人ほどでシェアする形なので非常に快適だ。これで一泊13 EUR なのは安いね。このサイトで調べるとベルリンには無数にホステルがあり安いものは 15 EUR 以下で泊まれることがわかる。
今さっき話した同宿の若者はアルゼンチン人の3人組だった。その内の一人は、ドイツ在住で、奥さんはドイツ人だという。MBA をもち、きれいな英語を話す彼は、米国系企業で東南アジアの顧客を担当しているそうだ。まさにグローバル(笑)。
私がドイツに今回来たのは、1999年から4年間住んだカナダでの体験と比較するためである。欧州文化を中核に置きながらも「生まれながらにしての移民国家」カナダと「遅れてやってきた移民国家」ドイツとの違いはどこにあるのだろうか。ドイツの人口の10%はいまやトルコ系等の外国人たちだが、国民の中核はやはり白人のドイツ人たちである。私の長期間滞在に対して彼らはどういう反応を示すだろうか…?
正直に告白すると、私はいまだに白人に対する苦手意識がある。この苦手意識がどこから来るのか良く分からない。一つは白人の方が身体が大きいせいだろうか?もう一つは白人の顔立ちがはっきりしていて美しく見えるからだろうか?またこれは特に英語圏での経験から培われたものだが、英語を上手に話す彼らに対して、劣等感を感じたのかもしれない。
私は、白人だけでなくアジア系以外の人種に対してどうしても構えてしまうところがある。自分自身、これは大変残念なことに思っている。これは、日本が非常に均質的な社会であり、子どもの頃、別人種の人々と共に生活しなかったのがいちばん大きな原因なのだろう。ドイツ滞在を通じて、この異人種への苦手意識を克服できないだろうかというのが、私の密かな願いである。
私にとってはいまや東南アジアが世界でいちばん快適に暮らせる場所になっており、これから先も変わらないだろう。ただ、アジア人相手の快適さに逃げ込みたくはない。ドイツ滞在を通じて欧州人の気持ちが理解できるようになれば、と希望している。