「誰でも楽しく効果的に学び目標に到達できる」elm200 式学習法
私は、オンライン学習コミュニティ「エルム・ラボ」を運営している。インターネットに学習素材があふれているのに、それを活かして行く方法がまだ広く共有されていない。単に情報を提供するメールマガジンではなく、有料コミュニティにしたのは、意識の高い人たちから成り立つ「場」こそが重要だと考えたからだ。
来たる7月26日にデジタルハリウッドで「新しい時代を乗り越える"学び"の手法」というタイトルで講演会を行なう。私はそのときドイツにいる予定なので、Skype 経由での講演となる。こうしたあたらしい試みがどれくらい受け入れられるか実験するという意味合いもある。
私は、何か新しいことを学ぶことに喜びを感じるようだ。子どもの頃から学ぶことが好きだった。おかげで学校での成績はいつも良かった。入学試験には落ちたことがない。名門私立の開成中学校に合格(2年間で中退してしまったが…w) 東大に合格。卒業論文は特選。英語は TOEIC 965 点、中国語 HSK 7級、韓国語能力試験5級。USCPA は7ヶ月の学習で全科目合格。行政書士試験は去年あとわずか8点というところで落ちた…(勉強したのは実質3−4ヶ月というところだが…)。
私の学習法をみなさんと共有したい。もし何らかのお役に立てれば光栄である。
学習効果の公式
学習効果の公式は以下のようになるのではないか?
学習効果 = 学習意欲 x 学習教材 x 学習時間
以下に7つの項目に分けて説明したが、
学習意欲は 1-3
学習教材は 4
学習時間は 5, 6
に関連する。
1. それは本当に学習する必要があるのか?(学ぶ目的は何か?)
世の中には勉強嫌いな人たちが多い。多くの場合、自分が興味を持てない学習対象を無理矢理勉強させられているからだろう。いちばんよい方法は自分の嫌いな学習対象は勉強しないことだ。
無理だ、という声がすぐ聞こえてきそうだ…。「義務教育では自分の学ぶ内容を選択できない」「大学卒業のためには、興味のない必須科目を取らなければならない」「会社の昇進の条件で○○を勉強しなければならない」etc...。
確かにどうしても興味が持てない学習対象を学ばなければならないときもあるだろう。そういう人たちは「3. 自分の興味にひきつけろ」に進んでほしい。
それでも興味が持てないという場合はどうだろうか?私はそういう場合、本当に勉強をする必要があるのか、疑問である。それがたとえ義務教育であったとしても。何かを嫌々学ぶ前に、自分の生き方を反省したほうがよいのではないだろうか?そして、何とかしてその嫌な何かを学ばないで済む方法を考えたほうがいいのではないか?
2. やる気(学習意欲)がすべて
「お腹がペコペコのときに食べる粗食」と「お腹がいっぱいのときに食べるご馳走」では、前者のほうが美味しく感じるもの。学習も同じで、「学習意欲があふれているときの貧弱な学習教材」と「学習意欲がないときの強力な学習教材」では、前者のほうが学習効果が高いことは改めていうまでもないだろう。よい教材を選ぶことは大切(4. 教師・教材選びは徹底的に)だが、それ以前にやる気がなければ、どんなによい教材も無駄になってしまう。ではやる気を出すためにはどうしたらいいのだろうか?
3. 自分の興味にひきつけろ
学習対象に興味を持っているにしろ、何らかの事情で強制的に学ばざるを得ないにしろ、学習において一番重要なのは学習意欲だと述べた。ある学習対象に対して学習意欲を持つには、既存の興味にひきつけて学ぶしかない。
たとえば、英語を学ばなければならないとき、漫然と勉強してもたぶん身に付かないだろう。だがもしその人がサッカーが好きで、海外のサッカー動向を英語記事で読むようになれば、はるかに興味深く学習ができるだろう。文系脳の人が数学や理科に興味が持てない場合は、たとえば数学や科学で偉大な功績を残した人の伝記でも読んでみたらどうだろうか?少しは興味が持てるようになるかもしれない…。
(それでも興味が持てない場合は、いっそのことすべて捨てて逃げ回るというのも一考である。大学入試でも数学を受験した私だけれども、正直、数学なんていうものは、ほとんどの人たちの日常生活には必要ない。そんな数学を勉強しろと押し付けるほうが間違っていると思う)
どんなにこじつけでもよいから、いかに既存の興味とやらなければならない学習対象を結びつけることができるか。これは一種の連想ゲームだが、慣れれば早くなって行くはず。これが出来ないうちに学習は始めないことだ。
4. 教師・教材選びは徹底的に
たいていの人たちはこの部分を徹底的にやらない気がする。特定の教材(例えば教科書)をあてがわれることもあるけれども、参考書は自分で選ぶことはできるはずだ。学校の教師は選ぶことはできないかもしれないけれども、塾の講師は選べるかもしれない。
多くの人たちが自分に合わない教材を学んで「自分は理解力がない」と嘆くのを見てきた。いや違うのだよ…。頭が悪いのは貴方ではなく、教材の方だ。すべての人に通用する、万能の教材というものは存在しない。学び方の癖も人それぞれ違う。だから自分に合う教材を見つけるまで探し続ける必要があるのだ。
「自分には理解力がない…」そう落ち込んだら自分を罰するのではなく、教師や教材のせいにしたほうがいい。自分にピッタリ合う教材が見つかれば、かならずしや学習対象に興味を持ち、高い学習意欲をもって、効果的に学習を行なえるはずだ。
5. 計画を作って学習リズムを作る
学習意欲と学習教材を確保したら、次に重要なのは、学習を実行に移すことだ。学習には必ず一定の時間が必要だ。長期間に渡って、この目に見えない学習時間を管理していく必要がある。
3ヶ月先に達成したい目標を立て、3ヶ月分の学習計画を立てよう。Excel のようなスプレッドシートを使うと良いと思う。
私が USCPA 試験を受けたときには、縦軸に日付、横軸に4つの科目を入れたスプレッドシートを作った。そして、交差するセルに学習時間と学習した単元を記していった。こうすることで、各科目ごとの学習時間が一目瞭然になるようにした。
計画を作って、毎日学習していくうちに、学習が習慣となり、リズムが出てくるのを感じることができるだろう。そうすればこっちのものだ。
6. 自分の学習内容を振り返り、弱点を見つける
学習がどの程度進んでいるのか、自分で把握することが大切だ。私が USCPA を学習したときには、縦軸に教科書の各章、横軸に phase 1, 2, 3 と記した。そして、各章末のテストで何%の得点ができるか記していった。直感的に理解度が見られるように、
0-40% 赤
0-75% 黄
75-100% 緑
とセルを色分けした。いわゆるダッシュボードの考え方だ。phase 1 は1回目の学習、phase 2は2回目…だ。そうやってすべての章を3回繰り返して学習するように努めた。点数の低いところは重点的に復習した。そうすると、phase 1, 2, 3 と復習が進むにつれて、だんだんセルの色が緑に変わって行くのが見て取れた。いかにも先に進んでいるという感じがして、学習意欲の向上につながった。
7. 小さな成功を見つけよう
私は学習があまり得意でないように見かける人たちの特徴として、「一発逆転を狙う」というものがあるようだ。いままでの劣等感・挫折感の裏返しなのかもしれないが、何か難しい学習対象や資格試験などに挑戦して、一度で成功しようと焦っているように見える。
これは逆効果だ。難しいことに挑戦すれば、失敗する確率が高いに決まっている。そもそも成功体験がない人が、挑戦して失敗したら、心が折れてしまう。もう二度と学習に興味を示さなくなるかもしれない。
あまり高すぎる目標は掲げないほうがいい。自分の実力より、わずかに高い目標(90%の確率でクリアできる目標)を立てるのがよいと思う。そして、さくっとその目標をクリアしたら、次のもうちょっと高い目標へ進む。そうやって繰り返しているうちに、最初は到底無理だと思われた目標に到達している自分に気がつくだろう。
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まとめ
学習において一番重要なのは意欲だ。そして新しい学習にチャレンジする精神は、成功体験からやってくる。自分の実力よりわずかに上の目標を立て、よい教材を使って、計画的に学習する。そうすれば、必ず目標に到達できるはずだ。それが新しい自信となり再び新しい学習に挑戦したくなり…という学習の良循環が生まれる。
学習ができないのは貴方の頭が悪いからではない。学習の手法を知らないだけのことだ。だから学習の手法を学べばいい。時代が変わり、学習内容が異なっても、身に付いた学習の手法は一生役立つだろう。
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