太陽光発電+合成石油の可能性(その2)

前回、太陽光発電+合成石油の可能性(その1)で、太陽光発電のコストが急速に化石燃料発電のコストに迫ってきている現状について述べた。

今回は、化石燃料の未来について考える。

ピークオイル

ピークオイル説とは、石油の生産量がいったんピークを迎えるとその後、ふたたびピークを越えることができず、枯渇に至るまで急激に減っていくという説である。


(出典 Wikipedia)

生産量の推移は、ベルカーブ状のハバート曲線に従うとされる。

原油価格は、2000年代に入ってから急激に上昇して、2004年に40 USD/バレルを越え、2008年には約130USD/バレルの高値を付ける。その後、やや落ち着いたものの、現在も90USD/バレル程度の取引が続いている。1990年代には20USD/バレル程度で安定していたのと比べると非常に対照的である。
参考:原油価格の動向(グラフ)

原油の生産量はどうだろうか?
参考:世界の石油(国別生産量)

2000年代は、1990年代に比べて価格が2〜6倍も高くなったのにも関わらず、原油の生産量は40億トン弱でほとんど変化がなかった。これは、石油の供給に関して物理的制約があると考えないかぎり、産油国の行動を説明しにくいと言えるだろう。

国際エネルギー機関(IEA)在来型石油の生産量が2006年にピークを迎えた可能性が高いと発表した。
参考:“石油ピーク”は2006年に過ぎた?(記事全文) - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト

エネルギー問題の専門家・大場紀章氏は、「2014年前後に需要が供給をオーバーシュートし、2020年頃には生産減退が始まる」と非常に悲観的な見方を明らかにしている。
参考:「原発はダメ、自然エネ拡大まで天然ガス」では解決しない:日経ビジネスオンライン

もし「需要が供給をオーバーシュート」するならば、原油価格のさらなる高騰が予想される。

天然ガス・石炭は大丈夫か?

原油が枯渇しつつあることは誰でも知っている。それを代替すべく、天然ガス原油の利用が進んでいる。現在では、火力発電といえば、主に天然ガスや石炭を利用したものである。

米国ではシェールガスブームに湧いている。石炭の埋蔵量は200年分の消費に相当するという説もある。それでは、天然ガスや石炭の将来は明るいのだろうか?

上記の大場紀章氏は、天然ガスや石炭に関しても非常に悲観的な見方をしている。
参考:
米国からのシェールガス頼みは危ない綱渡り:日経ビジネスオンライン
「石炭は豊富にある」という常識が覆る:日経ビジネスオンライン
中国の“ドカ買い”が石炭貿易市場を破壊する:日経ビジネスオンライン

確かに、新興国のエネルギー消費量の拡大はこれからが本番である。
参考:図録▽人口1人当たりエネルギー消費量の推移(主要国)

主要先進国の一人当たりエネルギー消費量は石油換算で4000kg 程度(明記されていないがおそらくこれは年当たりの数字であろう)。それに対して新興国の中国では1500kg/人・年, インドに至っては 500 kg/人・年しかない。人口比で言えば、先進国より新興国の人口のほうが遥かに多いのである。新興国の経済成長とともに、世界のエネルギー消費量が拡大するのは間違いない。仮に石油が枯渇気味になり生産量が減れば、この新興国でのエネルギー消費拡大と相まって、天然ガス・石炭等の他の化石燃料への需要が爆発的に増えるだろう。他の化石燃料が枯渇する時期が早まっても少しも不思議ではない。

結論

石油生産はすでにピークに達したという説が有力である。新興国でのエネルギー需要の増大と伴い、天然ガス・石炭への需要が一気に増えるだろう。こうして化石燃料の価格が高騰して行く可能性が高い。

前回、触れたように、一方で、太陽光発電のコストは急激に下落しつつある。

天然ガス・石炭火力・原子力は現在10円/kWhと試算されているが、前回計算したように、太陽光発電のコストは22円/kWh程度であり、現在の年率7%のコストダウンがあと10年続けば、半額の11円/kWh になる。化石燃料による火力発電のコストは、ほぼ確実に上昇するであろうから、すでに太陽光発電のほうが安くなっている可能性が非常に高い。

エネルギー問題は歴史的な転換点に差しかかろうとしている。