リニア新幹線より電気飛行機

JR 東海が莫大な投資をもって、リニア中央新幹線を建設予定とのこと。とりあえず東京と名古屋を結ぶのだが、この2点を直線で結ぶために、南アルプスを貫通するトンネルを建設するそうだ。それに対して、「長野県の中心部を通さないのはけしからん」と長野県知事が激怒しているとか。もうこういう話を聞くだけで、いらいらしてくる。そもそも、リニア新幹線を作ろうという発想自体が古すぎて、頭が痛い。

現在でも従来の新幹線によって、東京・大阪が2時間半で結ばれている。これ以上、スピードアップを図る必要が本当にあるのか?確かに東京・大阪間の運輸には根強い需要があり、もっと輸送力を増やせばもっと儲かるはずだ、という JR 東海の目算があるのかもしれないが・・・。もし超過需要があるのであれば、単純に価格を上げてもいいのではないか?格安航空会社がやってるみたいに、列車ごとに小刻みに価格を変えて、常に乗車率100%を達成し、利益を最大化するとかね。

百歩譲って、東京と大阪の間で、より高速化が必要だとしても、それはこんな巨大プロジェクトで行うべきではないはずだ。21世紀の科学技術は「小型・自律・分散」がキーワードである。20世紀型の巨大プロジェクトの時代ではない。

私は、個人的には、空路をもっと活用すべきだと思う。環境主義者は、現在のガソリンジェット飛行機は二酸化炭素を排出しすぎるというだろう。空港の周辺住民は、騒音が問題だというだろう。

では、電気で飛行機を飛ばすというアイディアはどうだろうか?Wired のこの記事は、電気で飛ぶ飛行機の開発が進んでいることを報じている。

確かに、大型の電気旅客機の実用化はまだ遠いかもしれない(しかし、リニア中央新幹線の完成予定年も2025年だから、まだ先の話だ)。しかし、電気飛行機には、従来の飛行機にない長所がいくつかある。

ひとつは、飛行時に二酸化炭素や窒素酸化物といった化学物質を大気に放出しないということだ。環境にやさしい。

実用上、それよりもっと面白い特長は、電気飛行機はとても静かだということだ。空港がうるさいというのは、飛行機がジェットエンジンを積んでいるからだ。もし空港が静かになれば・・・。空港建設のハードルがとても低くなるはずだ。これは日本のような人口が密集し、かつ人権意識の高い国では重要なポイントになる。そもそも、大阪の伊丹空港の廃止論は、騒音に苦しむ周辺住民の声が影響している。もし騒音がなくなれば、空港の建設・維持に反対する声はずっと少なくなるはずだ。ひょっとしたら、都市の中心部に空港が戻ってくるかもしれない。

あとは、空港と都市中心部への交通アクセスの強化、空港での事務手続きの迅速化などを図れば、リニア中央新幹線も飛行機もほぼ所要時間は同じになるはずだ。

私なら、東京・大阪のほとんどの区間を地下を走る、地下鉄のようなリニア新幹線より、静かでエコな電気飛行機で移動したいなあ・・・(というより、正直、東京・大阪間なら従来の新幹線で十分満足なのだが)