ビジネスモデルとは何か

「単なる金儲け」とビジネスモデルとの違いは、前者が自分自身がどうやってカネを稼ぐか、ということしか考えていないのに対して、後者は、ビジネスに参加するすべての人の利益を考えている。べつに利他的であれ、といっているわけではなくて、ビジネスにおいては、利益がなければ、誰も参加を強制することができないからだ。

ビジネスは、そこに参加するすべての人が利益を引き出すことができるような、一つの社会機械であると定義できる。ここで働いているのは、工学的な原理であり、ソフトウェア工学の知識が応用できるはずだ。「従業員の気持ちを考える」とか「礼儀やマナーを守る」とか「根性で難局を乗り切る」とか、そうした精神論はすべて副次的な事柄に過ぎない。ビジネスモデルが戦略であるとすれば、人間関係の円滑さを維持するテクニックはすべて戦術に過ぎない。戦争がそうであるように、戦略は戦術より重要であり、誤った戦略の下ではどんな戦術を弄しても戦いに勝つことはできない。

戦略より戦術を重視する会社がいわゆるブラック企業だ。ブラック企業はビジネスモデル(=戦略)は原始的で、「根性」(=戦術)でビジネス上の問題を解決しようとする。従業員の犠牲の上に利益を上げようとするが、戦略が間違っている以上、決して勝利を収めることはできない。

もし健全な経営を行いたいのなら、その背景には利益率の高いビジネスモデルが必要だ。この点を考え抜く必要がある。