日本人の英語力を飛躍的に向上させる唯一の方法

今の時代、英語を話せないのは本当に損だ。皮肉なことに、それがどれくらい損なのかは、英語がある程度話せるようになるまでわからない。

私は英語テストの TOEIC で965点(満点は990点)を取ったことがあるが、決して最初から英語が得意なわけじゃなかった。英語を普通に話せるようになるまで、血のにじむような努力をせざるを得なかった。あんな努力は私が変態的な言語マニアだからできたことであって、普通の人にはおすすめできない。

今の教育システムの下、普通に18歳まで日本で教育を受けた人が、英語を実用的なレベルで話せるように確率は、非常に低いと言わざるを得ない。結局のところ、その後、英語が必要になった人たちは、各々が個人的に大変な苦労をして、ようやくブロークンな英語を操れる程度に至る。

原因は簡単で、日本語の構造が英語と違いすぎるからだ。日本人が馬鹿じゃないことは、外国語の中で構造が一番日本語に似ている韓国語なら、日本人はあっという間にマスターすることからわかる。英語と似た構造をもつオランダ語を話す人があっという間に英語を覚えるように。

この状況を打開するには一つしか方法がないと思う。

この先、英語をネイティブスピーカー並みに話せるような可能性があるのは、現在12歳以下の日本人だけだ。彼らに対して徹底的な英語教育を施すしかない。しかし、この政策は諸刃の剣だ。なぜなら、英語教育に力を入れすぎると日本語能力がおろそかになる危険があるからだ。日本人としてそれはどうよ?という人が出てきて当然だ。

そこで提案したいのは、全国の小学校の「20校に付き1校」を英語で教育を行う英語小学校にするのだ。英語*を*教える小学校ではない。英語*で*教える小学校だ。校内での日本語の使用は原則的に禁止され、数学・理科・社会など全ての教科は英語で教えられる。ただし少数の日本語(国語)の授業を設けるのはかまわない。

英語小学校の教育は完全にアメリカ式にする*1。それを徹底するために、英語小学校の教育課程の設計はアメリカの教育専門家に一任する。アメリカ人としての思想教育は行わないことを除けば、教育内容は論理的思考力・文章力・表現力を重視するアメリカ式になるだろう。英語とはそういう文化と表裏一体の関係にあるのだから、これは仕方がない。

そして、この英語小学校を卒業した子供たちのために、当然ながら、英語で教える中学校・高校も用意する。英語で教える大学を用意すべきかどうかは、あまり重要じゃないだろう。いまでも英語で学べる大学なら日本国内にもあるし(国際基督教大学テンプル大学)むしろ英語圏の大学に留学したほうが本格的な教育が受けられるだろうからだ。

公立のインターナショナルスクールみたいなもの、といえば理解が早いだろうか。数十年前から公立教育を完全に英語化してしまったシンガポールの経験から大いに学べるだろう。

この提案のミソは、100%の小学生に対して英語教育をするわけじゃないということだ。財源的に100%の小学生を英語で教えることはできないし、すべきでもない。もしそんなことをしたら、日本語が破壊される結果になるだろうし、日本という国のかたちが根幹から変わってしまう。そこまで踏み込んだ決断をいま行う必要はないだろう。

しかし、これからの時代、英語や英語圏の考え方を理解することができる人たちは、ますます得をする。20人に1人(5%)くらいの小学生の親たちは、真に本格的な英語教育を子供に施すことを望んでいるかもしれない。5%というのはそんなに大きい数字ではない。だから、希望者だけがこれらの英語小学校に入ればよい。「日本人なんだから伝統的な日本の教育を受けるべき」と望む親たちは伝統的な小学校に子供を入れればよいだけのことだ。

これらの小学校の教師たちは、初めは、英語圏からのネイティブスピーカーにしなければならないので、人件費が通常の数倍かかるかもしれない。その他含めて、普通の小学校の数倍の費用がかかるかもしれないが、その分、多少余計に父兄から教育費を徴収してもいいだろうし、徴収しなくても、全体の5%と数が少ないので、ヤリクリすれば費用は捻出できるだろう。

この制度がスタートして15年くらいすれば、最初に英語小学校に入学した生徒が今度は英語小学校の教師になることができる。そうすれば、高価な英語圏からのネイティブスピーカーへの依存度を徐々に減らしていけるだろう。

日本で人口の5%程度が、十分流暢に英語が話せるようになれば、日本経済の国際化がもっとスムーズになるだろう。そして彼らはより国際的な視野を身に付け、日本に縛られることなく世界中に住んだり働いたりすることができるようになる。同時に、世界に日本のことを伝えるスポークスマンとして活躍してくれるはずだ。

皆さんはどう思いますか?ご意見は最寄のコメント欄まで(あるいは、はてなブックマークまで)。

*1:付記:アメリカ式というのは、日本式じゃないよ、位の意味。実際には、アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア等の純英語圏シンガポールスウェーデンなど、学生に第二外国語として英語を教えているがほとんどネイティブスピーカーレベルまでに育て上げるに成功している国々からの英語教育専門家の共同チームで教育課程を開発してもらうのがいいかもしれない。