やっぱりダメだろう日本

もうそろそろ日本はもうダメだと言わなくてもよいを読んで。

自動車でも電化製品でもフランスでは日本製品は品質が良いという先入観があります。学校と研究所でお世話になっている3人の教授はみんなソニーVAIOの最軽量モデルを使っています。この2年間の間に何回か買い替えていますが、いつもVAIOです。きっと気に入っているのでしょう。学生はもう少し安いPCを使っています。また、友人が自動車を買うと言う時に検討するのが、トヨタです。学生はお金がないので中古ですが、故障で余計に費用がかかるのは困ってしまうので、信頼性の高い日本車を選びたいと答えます。僕は旅が好きなのでフランスにいるうちにヨーロッパ各国をまわっているのですが、観光地に行った時に旅行者の持つデジカメとデジタルビデオカメラは少なめに見積もっても80パーセント以上は日本製です。

なんだかなー。これって全て過去の話じゃない?私も「昔の日本」がすごかったことは認めないわけじゃない。ただ危機感を持っているのは、今の日本が過去の蓄積を食いつぶす形で存続しているという点。所得の高いヨーロッパでは、高級品である日本製もそれなりに売れているのだろうが、新興国では売れていない。そして、これからマーケットが大きくなるのは新興国だ。

フランス語をしゃべり途上国から来ている博士号を持つ研究者は、フランス国籍を取れる可能性があります。こういった研究者とフランス国籍を取るか取らないかの議論したことがあります。「フランス国籍を持っていた方が何かと便利だから取りたい。今はヨーロッパの空港の出入りで面倒が多い」といいます。続けて、「日本のパスポートはフランスのパスポートと同じ威力があるから、お前には関係ないな」と言われました。世の中は本当に不公平にできていると思います。日本も以前は今の位置にいたわけではなかったので、日本は長い努力の上に今の地位を得ていることも確かです。

だから、これも過去の話。「世界第2の経済大国(今年までは)」ですから、今はパスポートが強いの当たり前。しかし、日本経済が衰退し、日本人が海外で働かざるを得なくなり、その何割かが不法就労を行って、ビザの発給が厳しくなるかもしれないとかそういう「未来」の可能性は考えないのだろうか?日本人はアメリカやEUにパスポートさえあれば行けると思っているのかもしれないが、本来外国はビザを発給してもらってはじめて行けるもの。「日本人は悪いことをしないだろう」という信頼から、短期滞在に関してはビザを免除してもらっているにすぎない。逆に言えば悪いやつが増えれば、再びビザの取得が義務化される可能性もある。

いまの日本は過去はあるかもしれないが、未来が見えない。そこに人々は閉塞感を感じているのに、このエントリの筆者はこの点にまるで答えていない。「今の日本はすごいよ、だから自信を持とう!」と言われても未来が真っ暗だったら、希望なんか持てるはずないだろうに。

こんなエントリが hot entry になってしまうあたり、過去のノスタルジーの中に生きていたい日本人がまだ多いんだろうな。やれやれ。深センシンガポールにでも行って、目を覚まして欲しいな、まったく。

悲観論じゃなく、危機意識を持って、本気で日本を改革しようと皆が決意を固めたら、私はもう日本はダメだとは言わないよ。ただ、それまであと何年かかるか見えないので、絶望感を抱いているんだ。