フェアな農業政策

いい問題提起なのに、はてなブックマークで妙に評判の悪い
農政に見る民主主義の罠 - Chikirinの日記
へ援護射撃。

一部で枝葉末節を持ち出してグダグダ言っている人がいるが、要するに、ちきりんの言いたかったことは、今の農業政策が時代遅れで、農業の近代化に役立たず、一部の既得権益者だけを保護しているアンフェアな政策だということ。収入が安定する米作兼業農家と農家票を獲得できる政治家と省益を確保できる農水省は共犯関係にある。

都会から農村への利益誘導は、高度成長期の急激な社会変動の時代にはそれなりに意味があったはずだ。しかし、問題は、その構造が必要性がなくなった今日も変わらず存在していることだ。

ちきりんのエントリの批判者は、次のようなことを考えたことがあるのか。ベトナムでは、ジャポニカ米が2キロ250円で売っている。インディカ米にいたっては、2キロ100円程度だ。こうした米を関税なしに輸入すれば、コンビニのおにぎりが50円になったり、チャーハンを一皿200円くらいで食べられるようになるかもしれない。米だけではない、野菜でも果物でも何でも安くなる。安く食料が手に入ってうれしくないのか。

海外だから安全性がないと考えてはいけない。どの国でも農薬使用などに関しては基準がある。輸送時に使われるポストハーベスト農薬は問題だが、農薬を使わなくても安全に輸送する技術もあるだろう。逆に国産だからといって無条件に安全だといえるのか?

そうやって自由に輸入したうえで、あえて高価な国内産の有機米や有機野菜を買うというのもアリだろう。それは個人の選択であり、選択肢が増えるということは豊かになるということだ。

私は個人的には、いまや日本が農業を海外市場から保護しなければならない理由がわからない。輸入を自由化しても、生き残る農家は生き残るだろう。そして生産性の低い農地が放棄されるのはやむを得ないではないか。もし、それで治水が行われなくなり、洪水が増えるとかそういうことがあるのなら、それはそれとして別個の公共事業として、治水対策をするべきだ。食糧安保(笑)のために保護が必要とする説があるが、そもそも日本が食糧を輸入できなくなることなどありえない。もし仮にそういう事態になるとしたら、そのずっと前に石油が輸入できなくなっているはずでそのほうが経済に与える打撃は大きい。

なぜ、農民をそこまで保護しなければならないのか?日本国民は農民だけではない。むしろ都市に住む人間のほうが多数派なのだから。特定のグループを明確な理由なしに保護するのは、フェアではないではないか。