日本財政破綻のシナリオ - 外圧としての IMF 介入

さて最近再び盛り上がりを見せているリフレ論争。

マーケットから見た「リフレ派」の誤謬 - よそ行きの妄想
金融日記:勝間さんのインフレ政策を実行するとどうなるのか?

彼らマーケットの現場の人から見ると、リフレ派の「マイルドなインフレ」というのは理論家の夢想とのこと。デフレを無理やり金融的な手段でインフレにしても、それは通貨への信用毀損となって制御不能ハイパーインフレーションになるだろう、と。私も同意である。

ベトナムにいるから余計に思うのかもしれないが、インフレ率というのは、成長する経済が持つ体温のようなものじゃないだろうか。成長する経済では、常に需要が供給を上回っており、インフレ気味に物価が推移する。自然成長率が低下するにつれ、インフレは沈静化する(これは、体感であり、理論的な裏づけはないけれども)。体調の変化に合わせて体温が変わるのであり、体温を変えたからといって病気が治るわけではないはずだ。

リフレ派は、まだまだ意気軒昂だが、肝心の政府や日銀があまり乗り気ではないようだ。なので、リフレ的な政策が現実に実行される可能性は低いだろう。

では、今後の日本経済はどうなっていくのだろうか。

いまの日本経済が抱える爆弾は、間違いなく政府の累積債務である。ここしばらくは年間50兆円くらいの新規赤字国債を市場で消化し続けることができるかもしれない。だが、その後、確実に資本市場の日本国債への視線は厳しくなっていくだろう。

日本政府が、有効に歳出を減らすか、増税することができれば、国債の暴落懸念は薄らぐ。だが、問題はどちらも政治的にきわめて難しい。池田信夫氏などは、買い手のつかなくなった国債は、日銀が引き受けざるを得なくなり、円貨への信頼が揺らいて、ハイパーインフレに突入するだろうという。そうなったら日本経済は大混乱に陥るだろう。

だか、もう一つのシナリオがあるのではないか。

日本の金融市場の混乱で被害をこうむるのは日本国民だけではない。去年のリーマンショックを見れば明らかなように、現在、世界の金融市場は、緊密に連携しあっており、日本ほど大きな市場で起こった大混乱が世界中に波及しないと考えるのは難しい。日本で国債暴落が起これば、瞬く間にそのインパクトは世界に広がるだろう。

IMF国際通貨基金)は、世界の中央銀行ともいえる存在である。IMF の最大の目標は、世界の金融市場の安定である。日本で実際に国債が暴落し始めるまで、IMF がこの状況を放置するとは思えない。日銀だって、国債暴落は避けたいだろう。そこで、IMF に日本国債の一部を引き受けてもらう代わりに、IMF 指導下で財政改善プログラムを実行することになるのではないか。日本はやはり「外圧」がないと、改革(=歳出カットと増税)ができない国なのかもしれない。

このとき IMF に出資するのは、外貨準備を積み上げている中国になるかもしれない。結局、間接的に、日本は中国からカネを借りることになる。そうなれば、中国の日本へ対する影響力は増していくだろう。

経済にはフリーランチはない。未来の税金を国債という形で先取りして、乱痴気騒ぎを演じた国の末路とはこのようなものだろう。堅実にカネを積み上げていった国の属国と化していくのだ。個人のレベルでも国家のレベルでも、カネがある者の発言力が増していくのは自然の理であろう。*1

*1:正直、上の内容は、床屋談義に過ぎない。プロから見ると突っ込みどころ満載だろう。経済学がクソだというのは同意。理論だけで満足していいのは、小学生までだよね。大人は、制度的な部分(特に金融市場の具体的制度)をもっときちんと調べなければならない。